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(Tue)00:50

三国志演義 第一回

第一回 ジェットコースター桃園の誓い

『三国志演義』…中国四大名著の一つ。後漢末の動乱から晋王朝統一までを、幾多の英雄たちの活躍を交えながら描く。演義とは「史実を物語る」という意味で、本作をハシリとして演義小説のタイトルがいくつも生まれた(隋唐演義とか)。編纂者は羅貫中とされるが、最近の研究では色々怪しい。作者でなく編纂者となっているのは、複数の史書と膨大な種本を基にして作品を作っているため。言ってしまえば継ぎ接ぎである。通俗小説としては珍しく史実を重視しており、その丁寧な作りから頭の固い文人層達(当時通俗小説は低俗な物だと考えていた)にも受け入れられた稀有な作品。もちろん史実通りにするだけじゃただの歴史書になってしまうため、随所で講談脚本の荒唐無稽なエンタメ要素を盛り込んでいる。その人気と完成度ゆえに、演義の内容が真実だと思い込んでしまう読者も多かったとか。中国で長らく愛されてきた名著である。
本レビューはあくまで「三国志演義」を紹介するものなので、史書との比較とかはなるべく抜きの方向でいきます。語ると長くなるし、三国志は腐るほどファンサイトもあるのでそちらを参考されたし。


第一回 ジェットコースター桃園の誓い

・時は後漢末、乱世を予感させるマッポーの時代。

・そんな中、張角なる男が全国の貧しい人々のために護符と聖水を恵むキャンペーン開始。民衆の心をキャッチして、瞬く間に一大勢力が出来上がる。そのリーダーとなった張角は「天下とったるで!」とノリノリ、黄巾軍を名乗って挙兵する。

・朝廷に逆らうとはおろかなやつめ。帝は討伐のために官軍を派遣。しかし超巨大軍勢に膨れ上がっている黄巾賊を見た官軍は、びびって逃げ出してしまう。だめだこりゃ。

・張角が来ると聞いた幽州の太守は、これはまずいと慌てて義勇兵を募集。あいうぉんちゅー!

・義勇兵募集の高札を前に、一人の男がいた。その名も劉備。

・高札を見てため息をついたら、いきなり背後から巨漢に声をかけられる。
「俺の名は張飛。おい兄弟、どうしてため息なんかついている?」
「国の役に立ちたいのですが、お金が無いので」
「金ならあるぜ。どうだ、俺と一緒に義勇兵になろう!」
「おk」
二人が酒場へ行くと、関羽という男を発見。あっさり意気投合し、翌日張家の桃園の前で誓いを立てる。

・三人は軍に参加すべく武器と兵士を集めた。でも馬が無いよ。しょんぼり。

・と思ったら都合よく馬売りの商人が通りかかったので買い占める。

・準備万端の劉備一行は太守へお目通り。ほどなく黄巾賊が襲撃してきたので、三兄弟は力を合わせてこれをぼこぼこにする。その後、中郎将の盧植のもとへはせ参じ、討伐の手伝いをすることに。

・張角の兄弟である張宝・張梁は官軍に敗れて潰走していたところを、曹操に襲われる。味方を散々殺されたが、兄弟は辛くも逃げ延びた。

・劉備一行が戦場に駆けつけると張兄弟はもう逃げ去った後。しょんぼりしながら帰途へ。

・その途中、盧植が更迭されるところに出くわす。何でも劉備達が出かけてる間に、朝廷から罪を問われることになったとか。頼るべき人間まで失いますますしょんぼりする劉備達。

・とりあえず味方へ合流しようとした矢先、張角に敗走した董卓の軍勢に出会う。彼を助けて賊軍をぼこぼこにした劉備達。董卓は最初こそ厚く礼を述べたが、劉備達が官職についてないフリーターと知るなり態度急変。すっかり知らん顔。

・これにキレたのが劉兄弟の末弟張飛。
「あにき、あんなやつころしてやろうぜ!」
そして武器を手に飛び出していくのだった。

危うし董卓! 待て次回

小言
ごらんの通り、三国志演義第一回はかなり駆け足である。特にかの有名な桃園の誓いは、現代読者の感覚だといくら何でももうちょっと盛り上げろよ!と言いたくなる。今だったら桃園の誓いまでで軽くドラマ三話分は消費出来るだろう。しかし、当時はこれでも全く問題なかったのではないか。というのも、三国志の物語は古く唐代頃から民間に伝わっており、宋代以降は至るところで講談が開かれていた。で、こういう講談で語られるのは、主にアクションなどの手に汗握る名場面ばかり。聴衆達もそれを楽しみにしている。劉備達が義兄弟であることは誰でも事前に承知しているし、そうでなくても本編前の入話で語れば済むことだから、いちいち詳しく言及する必要は無いわけだ。元ネタの「史書」や「講談・雑劇の脚本」によってはこの序盤部分であれこれ内容的膨らみを持たせたものもあるようだが、羅貫中はそのあたりをバッサリ切り捨て、シンプルにまとめている(例えば演義の種本として有名な「三国志平話」では主人公達の前世の因縁が冒頭で長々と語られる)。前置きの長い「西遊記」や「紅楼夢」などと異なり、本作は四大名著の中で最も話に入っていきやすい。

気になる英雄達
劉備…ご存じ漢王朝の子孫。最初はしがないむしろ売り。主役なのに地味すぎるのは中国通俗小説だとよくあること。
張飛…ご存じ猛将軍。こんな男に突然背後から声をかけられたら、私なぞビビって失禁してしまうだろう。それを考えると、張飛を前にしても動じなかった劉備はやはり大物の風格があるんだなあ。うんうん。
関羽…ご存じ武の神様。ぽっと出てきて契りを結ぶ。演義では破格の扱いを受けている人物だが、もとの種本や古い民間講話だと張飛の方が全然目立ってたりする。
曹操…ご存じ乱世の奸雄。今回はほんの顔見世程度。
張角・張宝・張梁…黄巾の乱の張本人。残念ながら主役たちに蹂躙されまくるだけの役割。
盧植…朝廷の将軍。役職は中郎将。劉備とは師弟の間柄ということになっている。
董卓…盧植の後任の中郎将。あからさまに性格の悪いところを見せた。本格的な活躍はこれから。
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C.O.M.M.E.N.T

ウ~ン、第1回の内容って、駆け足どころか、てんこ盛りを早食いするようなものですね。でも、あらすじの後にある「小言」や「気になる英雄たち」がユニークで、単なるあらすじより、ずっと面白いです。董卓もやっぱり「気になる英雄」に入っているのが、ちょっと笑えます。まあ、英雄といえば英雄なんですけど…(^^)
楽しみに読ませていただきますので、最後までがんばって下さい!

2016/06/23 (Thu) 23:48 | にしきの #- | URL | 編集 | 返信

Re: タイトルなし

ご無沙汰しております!
まさか三国志の記事でご感想をいただけるとは…。
三国志は正史やら日本人作家による創作やらメディアが溢れていて書くのにも気を使います…。
亀更新ですが、お付き合いいただければ幸いです。

2016/06/24 (Fri) 22:06 | 春秋梅菊 #- | URL | 編集 | 返信

To 春秋梅菊さん

三国志演義も、紅楼夢におとらず大好きですので、春秋さんの連載がはじまって、ウキウキしています。日本の三国志ワールドも、にぎやかですが、春秋流で、ますます盛り上がるとおもしろいですね。とりあえずは、名悪役(?)曹操がどんなイメージになるのか、たのしみです。

2016/06/25 (Sat) 13:25 | にしきの #- | URL | 編集 | 返信

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