2015_01
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(Sat)22:53

紅楼夢 第四十一回

第四十一回 我が名は妙玉…俗塵を嫌う者なり…


・劉婆さんはますますテンションをあげて賈家一同を笑わせる。茄子料理を口にした劉婆さんはレシピを知りたがるが、煕鳳からその複雑な調理法を知って諦めてしまう。

・史太君はすっかり愉快にになって皆に酒をすすめる。賈家の女役者もやってきて音楽が始まると、酒のはいっていた劉婆さんは楽しくなって踊りだした。
黛玉「昔は聖人の音楽が奏でられると百獣が踊りだしたっていうわ。それが今は牛一匹だけだなんてね」
酷いジョークだが、賈家一同は大爆笑。

・史太君は劉婆さんを連れて散歩に。園内の木々や花についてあれこれ教えてやる。そこへおつまみが運ばれてきたものの、脂っこいものばかりで誰も手をつけない。劉婆さんと板児は珍しげなお菓子を見て大半をたいらげてしまう。

・煕鳳の娘、大姐が皆のところへ遊びにやってきた。彼女は柚子を持っていたが、板児が探春の部屋から持ってきていた仏手柑を見ると、そちらを欲しがって泣き出してしまう。侍女達が慌てて二人の持ち物を交換し、事なきを得た。

・お茶を飲み終えた史太君らは、櫳翆庵へ遊びに行く。尼の妙玉が慌てて出迎える。史太君は彼女の修行の邪魔にならぬよう、お茶だけ飲んだら立ち去ることにしたので、妙玉も言われた通りお茶を出してもてなす。

・妙玉は黛玉と宝釵だけをこっそり奥の間へ連れて行く。しかし宝玉は目ざとくそれに気づき、彼女達を追いかけてきた。
宝玉「君たちだけで上等なお茶を飲むつもり?」
あなたのぶんは無いわよ、と笑って突っ返す宝・黛。
道婆が表の客間の人達が飲んだ茶碗をさげてきたが、妙玉は劉婆さんの使った茶碗を外へおいておくよう命じる。宝玉は、俗人の劉婆さんが使ったのを汚がったのだろうと推測した。
妙玉はかなり凝った古物の茶碗で黛玉と宝釵に茶を差し出す。宝玉に対しては、妙玉が普段自分で使っているお椀で差し出したものの、宝玉は俗っぽいと言って突っ返す。
「郷に入っては郷に従え、ここではみんなアンティークな茶碗で飲んでるんですから、僕にもアンティークな感じので飲ませてくださいよ」
妙玉は彼の言葉を聞いて歓び、別の茶碗を持ってきた。お茶を飲んだ宝玉に対し、
妙玉「こうしてお茶を味わえたのもこちらお二人のおかげですよ。あなたが一人でいらっしゃっても、お茶なんか出さなかったのですからね」
宝玉「そーですか。じゃあ僕も恩にきるのはこちらのお二人だけにしておきますよ」
うまい具合に言葉を返され、たじたじになってしまう妙玉。黛玉が今飲んだお茶について尋ねると、妙玉は途端に薀蓄を爆発させる。聞いてらんねーなーと思った黛玉は宝釵を促して出て行った。宝玉は妙玉へ
「さっき劉婆さんが飲んだ茶碗だけど、あの人にあげてもいい?」
「あなたがそうしたければ、どうぞご勝手に。私の手で持っていくなんてできませんから」
「そりゃ、仙人のあなたがそんなことをしたら、汚れてしまいますものね!」

・史太君は具合が悪くなったので、李紈の住居・稲香村で休む。奥方や薛未亡人らもそれにならった。煕鳳や姉妹達は劉ばさんを連れまわして散歩を続けるが、不意に婆さんは腹が痛くなり、老女の案内で用を足す。

・終わってみると、案内の老女は姿を消しており、道に迷った劉婆さんはうろうろした挙句、ようやく一つの住居に行き着く。侍女がいたかと思ったら精巧に画かれた絵だったり、室内の飾りつけに目をくらませたり、でかい鏡にうつる自分を見て驚いたりした。で、鏡の奥に寝床があったので、酔いと疲れを感じていた劉婆さんはごろりと横になってしまう。

・表では劉婆さんが戻らないので一同も焦り気味。宝玉の部屋にやってきた襲人はどでかいいびき声を耳にしてびっくり仰天。慌てて中に入れば、酒臭い老婆が宝玉の寝床でグースカ眠っている。襲人はすぐさま劉婆さんを起こした。
恐縮する婆さんが、いったいここは誰の部屋なのか尋ね、宝玉の部屋だと知るなり、声も出せないほど驚くのだった。

待て次回

小言
劉婆さんの大観園ツアー後編。庶民丸出しの彼女は、今回も賈家の富豪っぷりに驚かされることとなる。作者の曹雪芹は、紅楼夢を執筆していた時点で家が没落しており、貧乏人の暮らしにも馴染みがあったはず。劉婆さんのモデルは明らかになっていないが、もしかすると没落した作者自身を投影しているのかもしれない。
今回は金陵十二釵の一人にして孤高の尼、妙玉が登場する。初見だとあまり目立たない人物だが、育ちのバックボーンや宝玉とのやり取りを詳しく見ていくと、かなり味わい深い人物なのがわかる。

気になる人物
妙玉…櫳翆庵の尼。初登場は十七回。生まれは蘇州で、三歳の頃に出家。美しく博識だが、黛玉でもたじろぐほどの偏屈者であり、今回も差し出した茶についてマニアックな知識を垂れ流した。俗塵を嫌うのも上の物語紹介で書いた通り。後の回のやり取りなどから察するに、宝玉へはほのかな恋心もあったのではないかと思われる。
劉婆さん…みんなにからかわれたりしつつも、いい思いをしましたね。
賈宝玉…妙玉のことをある意味一番理解している。
林黛玉…劉婆さんへの言い方は少々キツイ。
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C.O.M.M.E.N.T

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