第四十四回 誕生祝いの日に不倫なんて…こんなに夫と私で意識の差があるとは思わなかった…!


・荊釵記が上演される中、黛玉は宝釵へ一言。
「あの王十朋って人もわけわかんないわね。奥さんのお祀りがしたければ場所なんかどこでもいいじゃない? どうしてもそこに行かなきゃいけないなんて。気持ちさえあれば、わざわざ場所を選ぶ必要なんかないんだわ」
もちろん、前回誕生祝を抜け出して北静王のもとへ向かった宝玉へのあてこすり。宝釵は聞こえない振りをし、宝玉も煕鳳へ酒をお酌して知らぬ振り。二人ともスルースキルが達者なようで。

・煕鳳はあちこちの人間から盃を勧められ、すっかりまいってしまう。平児の肩にすがって部屋に戻る途中、一人の侍女見習いに声をかけたが、その子は煕鳳の姿を見るなりあたふた逃げ出した。不審な行動に煕鳳は怒り爆発、その侍女見習いを捕まえて問いただす。
「おいこらテメー、あたしを見た途端逃げ出すとはどういう了見だゴルァ」
「あ、あたくし奥様のお部屋が無人なのが気になって、慌てて駆けだしたんです」
「ざけんじゃねーぞ! こっちは喉をからして何度もお前を呼び止めたろうがっ!」
侍女見習いが口を割らないので、頬をひっぱたき、焼き鏝を口の中へ突っ込んでやると脅し始める煕鳳。西部警察も真っ青な尋問に、とうとう侍女見習いも観念する。
「実は、璉旦那様が見張りに立つようあたくしに命じたんです…」
「はあ? 一体どういう意味だコラ。ありていに白状しないと、テメーの肉を引き裂いてやるぞ」
 言うなり、簪で侍女の口を穴だらけにしようとする煕鳳。侍女見習いは泣きながら
「お許しを! 申し上げますから、実は璉旦那様が、鮑二の女房さんを部屋に連れ込んでるんです!」
王煕鳳に電流走る。

・部屋に駆けつけた王煕鳳、中から怪しげな声を聴きつける。
?「ねェ、今にあの閻魔女房がくたばったら、ここもあたしたちのものですわね。そしたら、平児さんを正妻になおせば万事解決ですわ」
?「そうだなあ。今の俺は、あいつのせいで平児と寝ることも出来ねえんだ。まったくなんであんな夜叉と一緒になっちまったんだろう」
話していたのは鮑二の女房と、他ならぬ自分の夫。王煕鳳大爆発。そばにいた平児もグルだと思い込み、いきなり彼女へ殴りかかる。それから中へ踏み込み、鮑二の女房と旦那も叩きのめす。
平児は誤解から自分も打たれる羽目になったので、鮑二の女房へ殴りかかる。すると賈璉がブチ切れ、平児を足蹴にする。悲しみのあまり、平児は自害しようとするが、周囲の侍女達に慌てて引き留められた。
王煕鳳「あなた! そこにいる淫売とグルになって私を殺すつもりなのね! やれるものならやってみなさいよ」
賈璉「んだとコラ! 俺をなめるのもいい加減にしやがれ」
賈璉は壁にかけた剣を引き抜き、煕鳳を殺しにかかる。王煕鳳は素早く逃げ出し、史太君のもとへ泣いてすがった。
「おばあ様、助けてください! うちの人があたくしを殺そうとするんですの。さっき部屋に戻ったら話し声がしますでしょ、どなたかお客でもお越しかしらと思い、びっくりして中に入りかねてましたの。そしたら鮑二の女房が、あたくしを毒で殺し、平児を本妻になおす話をしていたんです。あたくし、腹こそ立てましたが、口論するのも良くないと思って平児をぶちましたの。するとうちの人は、恥ずかしさの余りあたくしを殺しにかかったんです」←なんか脚色してないかアンタ。
それはともかく、史太君もこれにはブチ切れ。奥方の邢夫人も息子の不甲斐なさに怒り心頭。コワイ方々に睨まれ、賈璉もすごすごと退散した。

・平児は大観園で李紈達に慰められていた。宝玉は日頃平児に対して敬服していたが、彼女が賈璉の妾でもあるので、直接話しかけたりするのは控えていた。が、今日は腕の見せどころとばかり、汚れた服を替えてやったり、涙で剥がれた化粧を直してやったりする。いい加減な賈璉や、見栄っ張りで横暴な煕鳳に囲まれている平児の境遇を思うと、宝玉も密かに悲しみを覚えるのだった。

・翌日、史太君のとりなしで賈璉夫婦は仲直り。平児と煕鳳もよりを戻した。

・部屋に戻った煕鳳と賈璉だが、そこへ鮑二の女房が首を吊ったとの知らせ。賈璉は葬儀の金を出させてやろうとするが、煕鳳は冷たく突っぱねる。賈璉はこっそり鮑二の親戚や鮑二本人に銭を出してやるのだった。

待て次回

小言
王煕鳳誕生パーティーの後編。王煕鳳の苛烈で嫉妬深い性格が細やかに描写されている。まあ妻の誕生日に他の女を部屋へ連れ込む賈璉の神経も相当なもんだと思うが。気の毒なのは平児で、癖のある主達に振り回されている。彼女が化粧直しする場面はイラストなどでもよく描かれる名シーン。やたらと凝った化粧品が登場してきてなかなか楽しい。

いやあ…王煕鳳は強敵でしたね。ってことで騒ぎに巻き込まれた登場人物達
王煕鳳…今回の主役。酔いのせいもあったんだろうが、蹴るわ殴るわの大暴走。良家のお嬢様とはとても思えない。まあそういうところが魅力なんだけれども。誕生祝いの日に夫が別の女と同衾してたら、そりゃキレますわ。
賈璉…密事がバレ、妻もろとも死ぬ覚悟を決めるも、こわーい姑様達に睨まれて失敗に終わる。だが懲りない。
平児…今回のヒロイン。可哀そう過ぎる。
鮑二…寧国邸の小者。賈璉に仕えている。女房の死で賈璉からお金をもらってほくほく顔。夫婦仲はうまくいっていなかったのだろうか。
鮑二…その女房。出番は今回きり。不倫相手になるくらいだから、たぶん綺麗な人なんだろう。
史太君…息子が剣を手に入ってきても落ち着いて対応。さすがグレートマザー。
尤氏…宴席で仕返しとばかり煕鳳に酒をすすめる。
邢夫人…賈璉の母。性格の悪さからもともと史太君には好かれていないが、今回の一件でますます溝を作ったのでは。
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