第四十六回 シュッケ オア ジガイ


・王熙鳳を呼び出した邢夫人。何の話かと思いきや、夫の賈赦が史太君の侍女・鴛鴦を妾に欲しがっているから話をつけてくれとのこと。熙鳳はやんわり断ろうとしたが、邢夫人は逆ギレ。仕方なく話を合わせる。

・史太君と世間話をした帰り、邢夫人は鴛鴦に早速その話をもちかける。嫌々顔の鴛鴦に、夫人はご立腹。

・その頃、平児も王熙鳳から鴛鴦お部屋入りの話を聞かされていた。そこで園内に向かうと、一人思い悩んだ様子の鴛鴦が。
「あら、ほやほやのお妾さん、何してるの?」
 笑って声をかけた平児だが、鴛鴦に睨まれる。平児も失言に後悔し、真面目に話を聞き直す。
「私達、昔からいつも一緒で、何から何まで話してきたわね。最近はそういうこともめっきりになったけど。ともかく私は、一生お嫁に行くつもりなんか無いのよ」
 鴛鴦がそんなこと言う矢先、襲人も現れる。三人で部屋入りをどうかわすか相談。
平児「私にいい考えがあるわ。鴛鴦姉さんはもううちの旦那様にあげることにしたって話すのよ」
鴛鴦「何それ無理」
襲人「じゃあ私の案を聞いて。鴛鴦姉さんはもう宝玉様の部屋に入れる予定ってことにしたら?」
鴛鴦「あんた達ったら揃いも揃ってふざけてんの! 自分達がお部屋さんなのをいいことにして!」

・その後、鴛鴦の兄嫁が説得に来たが、鴛鴦はやはり聞く耳持たず。それどころか唾を吐きかけて罵り返す始末。

・邢夫人、鴛鴦の兄嫁、全員が説得に失敗と聞いて、賈赦はいたくご立腹。鴛鴦の兄、金文翔を呼び出して怒鳴りつける。
「あの小娘に伝えておけ。一つ、若い男を手に入れようと考えているなら諦めろ! 二つ、このワシの手から逃げることなど出来ぬとな!」

・金文翔は再び鴛鴦の説得へ。意外にも素直に話を聞きいれた鴛鴦は、
「わかりました。でもまずはご隠居様にお話ししておきませんと」
そう答えて、奥方達が顔を揃えている広間に乗り込む。そして、いきなり史太君の前へひざまずく鴛鴦。
「ご隠居様! 殿様が私を妾にすると言ってきかず、逃げることは無駄だ、などとおっしゃるのです。でも誓って、私はどんな殿方にも嫁ぎません。たとえご隠居様の命令だとしても、命を絶ってお断りします。それが無理というなら、ここで尼となります!」
 隠し持っていた鋏で、髪を切り裂こうとする鴛鴦。とっさにそばの女房や侍女達が止めにかかる。
 史太君は大爆発。
「お前達、どういうことだい! わしはお前達の欲しい子はどんどんくれてやって、今残ったのはこの鴛鴦一人だけ、それすらも奪っていくつもりかい!」
 史太君は、この件を仕組んだのは王夫人に違いないと早合点して、彼女を責める。史太君のお怒りとあっては、その場の一同も誤解とはいえ、うかつに擁護も出来ない。
 そこで進み出たのがしっかり者の探春。
「お婆様、上の殿様がそもそもの話を持ち出してきたというのに、どうして王奥様と関わりがありましょう」
 孫娘の言葉で、史太君もようやく間違いを悟る。
「お前の言うとおりだね。わしが勘違いをしたようだ。宝玉、わしに代わってお母様に詫びておあげ」
 宝玉は言われるまま、王夫人に叩頭。涙する王夫人。
 そんなところへ、のこのこやってきた邢夫人だが…。

待て次回

小言
鴛鴦ちゃん危機一髪の回。この時代、侍女をはじめとする奴隷身分の人間は、自由に結婚相手を選ぶ権利も無かった。主の一存で何もかも決められてしまう立場である。鴛鴦の行動は主に楯突く反逆行為、一歩間違えば処罰されたり売り飛ばされたりしても文句の言えないことなのだ。幸い史太君の助けがあったものの、そうでなければどんな目に遭っていたかわからない。また無事だったとはいえ、結果的に彼女の立場を危ぶめることになり、後の回でも同じような危機に見舞われることとなる。
また鴛鴦の会話で襲人・琥珀・素雲・紫鵑・彩霞・玉釧児・金釧児・麝月・翆墨・翠縷・可人・茜雪といった侍女が同輩同士だったことが明かされる。この時点で可人(今回の会話でしか登場していないが…)・金釧児は既に亡くなり、茜雪はお茶の件で追い出されている。

妾騒動の中心人物達
鴛鴦…今回のヒロイン。実家の姓は金。そろそろ結婚のお年頃なわけだが、本人は家の乱れた気風を知っているうえ潔癖な性格なので、頑なに結婚を拒む。王熙鳳からも一筋縄ではいかないと思われるほど、意志が強い。この回以降、鴛鴦は男絶ちをするようになり、宝玉とは会話すらしなくなる。
平児…侍女にしてお部屋様な人その一。賈璉の妾としてより、王煕鳳の腹心としての自覚が強いようだが…。
襲人…侍女にしてお部屋様な人その二。こちらは純粋に宝玉の妾としての自負がある模様。
賈赦…栄国邸の主。いい歳こいて若い娘に懸想するエロじじい。マジ救えない。
邢夫人…その妻。金にがめつく夫の機嫌取りにばかり心を砕くダメ女。夫婦そろって終わってる。
王熙鳳…邢夫人からの無茶な要求を何とかやり過ごそうとする。目上には表だって反抗出来ないのが辛いところ。
王夫人…鴛鴦お妾計画に荷担していたことを史太君に疑われる。根が大人しいので弁解出来なかった。
賈探春…怒り心頭の史太君に対し、周囲が誰も口出し出来ないでいる中、ただ一人進み出て祖母を慰める出来た娘。しっかり者のキャラクターがすっかり確率。気弱な迎春やまだ幼い惜春に比べ、家の中でも頼りにされている。
賈宝玉…本来なら探春じゃなくてお前が出るべきだろ~。
史太君…最近お怒りの場面が多いようで。
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