今回のご紹介は第二十七回「钱秀才错占凤凰俦」。
醒世恒言の第七巻。前回紹介した「蔡小姐忍辱报仇」の話は醒世恒言の第三十六巻だったが、今古奇観では話の順序が適当に入れ替わっている。


ものがたり
宋代蘇州に銭青という貧乏秀才がいた。生活に苦しんでいた彼だったが、ある時裕福な従兄の顔俊に学問相手として招かれることになった。顔俊は酷い醜男で学才も無いが、お洒落好きでお金もあるので、綺麗な嫁を探し回っているとこだった。そんな時、尤辰という商人がやってきて、西洞湖にいる富豪・高贊の娘のことを顔俊に話す。顔俊はすぐさまその話に飛びつき、その娘を嫁にするといってきかない。が、高贊は娘を最高の相手に嫁がせたいと思っているので、ブサメン無学な顔俊ではとても話がまとまりそうにない。そこで彼は名案を思いつく。顔もそこそこで優秀な従兄の銭青を高家に婿として送り込み、結婚が成立したら自分とすり替えてしまうのだ。結納さえ済ませてしまえば破談にもなるまいと考えた。顔俊は銭青を呼び、事情を説明した。銭青はためらったものの、従兄に押し切られて引き受けることにする。その後、銭青は尤辰をつれて高家を訪れる。高贊と妻の金氏は、銭青の立派な姿を見てすっかり惚れ込み、娘との縁談をその場で決めてしまった。
 婚礼の日が近づいたある日、尤辰が慌て気味に顔俊のもとへやってくる。何でも婚礼当日は、顔俊自身が高家へ嫁を迎えに行ってほしいというのだ。そんなことをしたら細工がばれてしまう。顔俊はもう一度、銭青に替え玉を依頼する。何度も断った末、渋々引き受ける銭青。
 当日、婚礼の儀と宴を終えた銭青は早々に帰ろうとしたが、突如暴風が吹き湖が荒れ狂う。高贊に引き留められた銭青は婿として高家の娘・秋芳の部屋で休んだが、彼女には一切手を出さなかった。
 三日後、やきもきしていた顔俊は、下男の小乙から銭青が嫁の部屋で寝ていたことを聞いて怒り心頭。ようやく戻ってきた銭青の姿を見るなり、罵声を浴びせながら殴りつける。銭青についてきたお供や高家の客は婚礼が偽りのものだったと知り、怒りのまま顔家の人間と乱闘騒ぎに。
そこへ知事が通りかかる。すぐさま裁判が開かれ、銭青の行いにも問題はあったものの、彼を是非婿にと望む高贊の声で、銭青は許されることとなった。
 尤辰は重罰を受け、顔俊も罰こそ受けなかったものの世間に合わせる顔は無くなってしまい、幾月も引きこもることに。銭青は本当の婿となり、幸せを手に入れたのだった。

いわゆる結婚詐欺の話。
どう考えても成功するとは思えない顔俊のアイディアはなかなか笑える。それにしても銭青のやっていることも相当重罪だと思うのだが、当時の人々はこういう展開を許せたのだろうか?
そのほか、江南地方の婚礼事情についても詳しく描写されている。婿が嫁を迎えに行くのが基本的な婚礼の形式だが、江南では嫁の母や兄弟が嫁を送るのだという。が、今回は周囲に婿自慢をしたくなった高贊の考えで、通常の形式ではなくなってしまったというわけ。
ちなみに主人公の銭青は字を万選といい、彼の名前は優れた文章を意味する「青銭万選」という言葉からとられている。

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