2015_03
08
(Sun)23:31

紅楼夢 第五十四回

第五十四回 その話はもう聞いたんじゃよ


・前回に引き続き、酒を飲むやら芝居を見るやら楽しく騒ぐ一同。宝玉が宴席を離れようとするので、史太君は侍女をお供につけさせるが、襲人の姿が見えないのでやや不機嫌。
史太君「あの娘も図太くなったものだ。若い侍女に世話をさせて、自分はさぼってるのかい」
王夫人「襲人は最近母を亡くしましたので…」
史太君「人に仕える身で、喪中も何もあるものかい」
そこへ王煕鳳が慌ててフォローを入れる。「あの子は園内の方で仕事を任せているのです。宝玉様がお戻りになったらすぐ休めるように。あの子に任せておけば万事安心ですから」

・宝玉が園内に戻ると、仕事をさぼっていた女房達が酒を飲んだり賭け事の真っ最中。部屋までやってきた宝玉だが、中では鴛鴦と襲人が葬式のことで話し込んでいた。そっとしておこうと引き返す宝玉。帰りがけに会った女房達は、鴛鴦らへ果物を届けに行こうとしていた。真面目なのもいれば不真面目なのもいるんだな、と思う宝玉。

・宴席では出し物の真っ最中。女講釈師は史太君に次々と物語読み聞かせのタイトルを紹介するが、お話好きの史太君は既にあらすじを知っていて先にまくし立ててしまう。王煕鳳がデタラメ話でその場を繋ぎ、女講釈師達は読み物の代わりに楽曲を披露する。

・夜も更けてきたので、場所を移して無礼講。賈家の十二人の女役者達が芝居で皆を楽しませ、その後は史太君と王煕鳳自ら語りものをして場を盛り上げる。その日の宴はやがてお開きになったが、賈家は元宵節の間ずっとお祝いを続けていたのだった。

次回を待て

小言
賈家の宴会後編。史太君を中心に華やかな場面が続く。今回興味深いのはやはり史太君が語る物語論。当時、民間の小説や芝居で人気だった「才子佳人」ものは、元代あたりからずーっと続いている由緒正しいジャンルであり、清代になるともはやマンネリを免れない状態になっていた。「尚書や宰相の娘が貧乏書生に一目惚れとかまじありえないわー」という史太君の批判はかなり的を得ており、当時の読者達も膝を打って同意したのではなかろうか。まあ、今でいうところの「モテない男に美少女が恋するとかまじありえないわー」というラノベ批判によく似ている。
ちなみに紅楼夢の作者、曹雪芹は第一回でも似たような主旨のことを石(通例宝玉)に述べさせている。文壇で地位の低かった小説に曹雪芹が深い思い入れを持っていた証拠ではなかろうか。

気になる人物達
史太君…今回の主役。現代にも通じる小説論を展開する。
王煕鳳…宴会の賑やかし役。
襲人・鴛鴦…最近家族を亡くした侍女二人。身分の低さゆえ、家族の死に目にも遭えない立場の辛さを語る。ちゃんと実家に戻って母の死に目に立ち会えた襲人は恵まれている方なのだ。
女房達…宴会の裏でサボりを決め込む。これが後の騒動のきっかけになるのだが…。
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C.O.M.M.E.N.T

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