2015_05
18
(Mon)00:14

紅楼夢 第六十六回

第六十六回 尤家の女を、なめたらあかんぜよ


・興児君の講釈は続く。そんな中、尤三姐が口をはさむ。
「あの宝玉様は、どんなお人なの?」
 興児はそこで、学問好きな一家の中で宝玉だけが勉強嫌いなこと、言うことやること普通の人間とかけ離れていること、上下の別もわきまえないことなどを話す。
 そんな人だったのか、惜しい人だなあと普通の感想を漏らす尤二姐。しかし三姐は、宝玉が以前女性達に対しいささか風変りではあるものの細やかな気遣いをしてくれたことを話す。
尤二姐「あら、そんなにあの人に理解があるなら、あなたはそこへ嫁ぐべきね!」
興児「そちらの三姐様ならお似合いではありますが、もう別の候補がいるのです。きっと林お嬢様と縁組なさるはずですよ」

・やがて賈璉が戻ってくるが、賈赦からの用事で半月ほど家を空けることに。尤二姐は、改めて尤三姐の好きな人物について話す。
「五年前の誕生祝の時、呼んだ一座に柳湘蓮という方がいらっしゃいまして、妹はその人のところへ嫁ぎたいというんですの」
「なるほど彼だったのか。確かにイケメンだが、彼は心が冷たいことで有名だ。それに去年、薛家の馬鹿様をぶちのめして失踪してしまったし…」
そんなところへやってきた尤三姐。自分は柳湘蓮に会うまで精進と念仏を続け、もし添い遂げられないなら出家するとまで言い張る。ひとまず探してみるか、と璉は出発した。

・賈璉が旅へ出て三日ばかりした時、従者を連れた一団に出くわす。それがなんと薛噃に柳湘蓮という珍妙なコンビ。聞けば薛噃、盗賊に襲われたところを柳湘蓮に救われ、義兄弟の契りを結んだのだという。
渡りに船と、尤三姐の話を湘蓮に持ちかける。湘蓮は相手が絶世の美女ならオーケーを出すということで、賈璉も大喜びで請け合った。湘蓮は故郷へいったん帰らなければならなかったので、結納代わりに家宝の鴛鴦剣を賈璉へ託す。賈璉はそれを持って帰り、三姐に渡すのだった。

・それから月日が経ち、柳湘蓮が都へやってくる。薛噃の恩人ということで、薛未亡人も過去の諍い水に流し、彼を迎え入れる。賈璉と協力して、結婚の準備も万端だった。

・湘蓮は久しぶりに宝玉と顔を合わせて世間話。が、湘蓮は賈璉からやけに結婚をせっつかれていたので、少々尤三姐のような美人が何故貰い手に事欠いていたのか疑念を持っていた。そして宝玉から尤三姐が寧国邸の人間であることを聞くなり、顔色を変える。
「なニィ! あの寧国邸の人間だとぉ! 寧国邸で汚れてないのは、門前の石で出来た獅子くらいじゃないか!」

・湘蓮は賈璉のもとへ行き、婚礼の解消を申し出る。が、支度も整っているのにそんな要求を受け入れられるはずがない。あわや争いになりそうな展開、しかも尤三姐は隣室で二人の会話を聞いていた。
「あの方はきっと家の噂を聞いて、あたしをふしだらな女だと思っているんだわ」
 このままでは何一つ思うようにならない。意を決した尤三姐は二人の前へ姿を現すと、鴛鴦剣を引き抜き、自分の首をはねた。
 愕然とする湘蓮。こんなに一本気の女だったのかと後悔したが、時既に遅し。賈璉は役所へ突き出そうとするが、尤二姐に止められる。
 納棺が終わり、尤三姐のために作った新居へ立ち寄る柳湘蓮。するとそこには尤三姐の幽霊がおり、自分の痴情にけりをつけるにはこの方法しか無かったのだと言い残し、消え去ってしまう。

・気がつくと、湘蓮は古寺にいた。そしてそばには一人の道士。湘蓮は道士の言葉に感じるものがあったのか、剣で自分の髪を切ると、彼に従っていずこへか去って行ったのだった。

次回を待て

小言
烈女尤三姐の死が描かれる回。本編を読めばおわかりのように、尤三姐は登場してから僅か三回で退場してしまう。キャラの性格同様、走馬灯のような最期。尤三姐の行動はいくらなんでも過激すぎなんじゃ…という読者もおられるだろうが、当時の女性にとって相手の男性というのは自分の一生を決めてしまう大きな存在。尤三姐のように、愛に殉じる女性がいたとしても不思議なことではない。
それにしても、寧国邸の評判の悪さも相当なものではなかろうか。柳湘蓮の悪しざまな言いように、さすがの宝玉もショックを受けた模様。
ちなみに今回は、死んだ尤三姐の口から太虚幻境についても言及され、柳湘蓮も出家して道士に従い現世を離れる。いよいよ物語の終幕が近づいたことを予感させる見事な引き。

気になる人物達
賈璉…ダメ過ぎ。一体何をやっているんだ。
尤二姐…前回、妹に言われた言葉がさっそく身に降りかかってきている。
尤三姐…自分の純潔を証明するには、こうするしかなかったのだろう。
柳湘蓮…もう少し冷静になっておけば…。
賈宝玉…今回の隠れた元凶。余計なことを言いましたね。
薛蟠…あの馬鹿殿が帰ってきた! 柳湘蓮に危ういところを救われた。が、今回で運を使い果たしたとは露知らず。
薛未亡人…息子を救ってくれた湘蓮に感謝感激。婚礼の準備を手伝う。相変わらずのいい人。
道士…賈瑞の死以来、久々のご登場。柳湘蓮を導く。
スポンサーサイト

C.O.M.M.E.N.T

コメントの投稿

非公開コメント

トラックバック