第六十八回 その正妻、凶悪につき


・王熙鳳の復讐計画が始まった。

一、ゴキブリハウス制作
空いている東部屋を自分の部屋同様に模様替えする。完成したのは王熙鳳特製ゴキブリハウス。あのバカ妾を騙してこのハウスへ放り込み、自分の監視下に置くのだ! 

二、自ら飾りたてて尤二姐本人にご挨拶。
「(キラキラした瞳といかにも善人そうな笑顔で)まあ、妹さん! うちの人ったら、外で女遊びなんかしてはなりませんというあたくしの言葉を誤解して、こんな風にこっそりよその娘さんを側室になさるなんて! あたくし、十日ほど前にあなたのことを聞きつけて、今日はお願いにあがったんですの。一緒に姉妹として暮らし、うちの人のために尽くせたらどんなにいいか。そう思いませんこと? あなたのように賢いお方の助けが得られれば、あたくしを悪く言う輩も口をつぐむし、夫もあたくしを嫉妬深い人間ではないと考え直すはずですわ。もしあなたが来てくださらないなら、あたくし自らあなたのところへ移り住みたいくらいなんですの…」
 最後にトドメの涙。すっかり騙される尤二姐を、見事上記のゴキブリハウスへ住まわせる。しめしめ。

三、主従に自分を誉めさせる。
周瑞のかみさん「奥様は日頃から善政をしかれておりますが、何分一本気なのでつまらぬ輩の恨みを買っているのでございます」
 納得した様子の尤二姐。ちょろいw

四、大観園に引き入れて、甘い飴を舐めさせる。
可愛い姉妹達にちやほやされ、すっかり油断する尤二姐。バカめ。

五、裏で色々小細工。
尤二姐の侍女を全員解雇、喪中の結婚だから尤二姐のことを上の奥様達へ知らせていけないと戒厳令をしく、婚約解消された張華(尤二姐の許嫁)をそそのかし、に裁判をおこさせる、などなど…。

六、元凶の排除
浮気をそそのかした賈珍・賈蓉・尤氏を締め上げる。てめーらあたしを出し抜いて調子のってんじゃねーぞコラ。

一方の尤二姐。熙鳳を立派な人だと信じ込み、彼女の言葉には何でも従う。そのうち、熙鳳にあてがわれた侍女の善姐は言うことをきかなくなり、食事も日に一回(それも残りもの)になってしまうが、ひたすら堪え忍んでいるのだった。

小言
王熙鳳のダークな面が存分に引き出された回。ある意味彼女の真骨頂。ここで何よりも面白いのは、正妻であり家政の要人である王熙鳳すら、直接的に尤二姐を追い出す権限を持っていないことだろう(当時、離婚の権利を持っているのは男側のみ)。だから知恵を巡らせ、回りくどい計画で尤二姐を排除しようとする。熙鳳の容赦ないやり口ばかりに目がいきがちだが、これまた当時における女性の弱い立場を如実に表したエピソードなのだ。

気になる人物達
王熙鳳…恐ろしく手の込んだ計画で着実に尤二姐を追いつめていく。ゴクリ。
尤二姐…善人丸出しの彼女が夜叉の熙鳳に勝てるはずも無かった。
善姐…熙鳳の侍女見習い。名前の割に全然いい子じゃないんですが。
賈珍…凄い剣幕で乗り込んできた煕鳳の前から慌てて逃げ出す。
賈蓉…オヤジが逃げてしまったので、仕方なく彼が対応。
尤氏…煕鳳に唾を吐きかけられたり罵られたり散々。でもまあご自分の無能ぶりを呪うことじゃな。
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