2015_05
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(Sun)22:20

紅楼夢 第七十一回

第七十一回 鴛鴦ちゃんが鴛鴦に会う……って全然めでたくねーよ!


・ようやく帰ってきた賈政。実家はいいもんだなあと、のんびりくつろぐ。お疲れさまです。

・史太君の誕生日が近づいてきた。親戚友人が大勢くることを懸念し、日程を前倒し、五日間かけて祝宴を張ることに。

・誕生祝いの贈り物が次々届き、誕生祝い当日は北静王妃や南安太妃をはじめとした客人がやってくる。史太君は南安太妃のお声かけに応じて、宝釵姉妹と黛玉、湘雲、探春を呼び寄せる。彼女たちの人並みはずれた姿に、安南太妃も感動するのだった。

・尤氏は近頃、夜は大観園で寝泊まりをするようになっていた。その日、煕鳳と食事をしようとしたが、仕事で忙しく手が放せないため、仕方なく宝玉のところで食事をとりにいく。途中、尤氏の侍女見習いがさぼりを決め込んでいる門番の老女達と喧嘩をしてしまう。侍女見習いからその話を聞いて、いらつく尤氏。が、史太君の誕生祝いの最中だけに、やたらと騒ぐわけにもいかない。そこへ周瑞のおかみさんがやってきたので、チャンスとばかり愚痴をこぼす。周瑞のおかみさんも前から門番の老女が気に入らなかったため、ここぞとばかり煕鳳へ進言、その老女を罰するのだった。

・老女達の娘は、林之孝のかみさんへすがりついて、母を解放してくれるように懇願する。林之孝のかみさんは面倒くさがって相手にしない。
「お前の姉は奥様(邢夫人)付きの倅に嫁いでるだろう。あの方のところにでもとりなしを頼むんだね!」
 そんなこんなで、娘は姉に頼み、姉は姑である老女・費氏に頼み…と、ついに邢夫人の耳にも話が入る。邢夫人は老女のことこそ気にしなかったが、費氏から王煕鳳が最近調子こいてますよぉ、という話を聞いて、煕鳳に対しての怒りを募らせた。

・翌日、賈家の一同は史太君と身内だけの宴席をはる。そこには賈一族の娘、喜鸞と四姐児の姿も。二人の可愛い姿を気に入った史太君は、しばらく屋敷へ留めておくことに。
一方、邢夫人はここぞとばかり煕鳳へ嫌みを言う。
「あらまあ鳳ちゃん、昨日はどういうわけか、老女を二人罰したんですってねェ。誕生祝いのめでたい日なんだから、そこはお慈悲を与えるべきだと思うんですけどねえ? 私の屋敷の前で人を辛い目に遭わせるとかホントきついわぁ。ま、ご隠居様の顔を立てると思って、許してやってくれないかしらね~?」
 王煕鳳は人前で小言を言われてしまい、悔しさから部屋へ戻って泣いてしまう。その後、史太君の呼び出しに慌てて駆けつけると、鴛鴦に涙の流した跡があるのを見咎められる。煕鳳は笑って誤魔化し、尤氏らと食事をするのだった。

・鴛鴦は平児から煕鳳の泣いていたわけを聞き出し、さっそく史太君に伝える。深く感じ入る史太君。
「やっぱり鳳ちゃんは出来た子だね。私の誕生祝いだからと言って、悪い連中を引き締めないわけにはいくまい? 上の奥方の了見が狭いから、あの子を人前でいびったんだよ」
 そこへ宝琴がやってくる。今し方の鴛鴦の話を聞いて、史太君は喜鸞と四姐児に対し、老女や若党が粗末な扱いをしないよう見張ってきてくれと鴛鴦に頼む。

・鴛鴦は大観園にやってきて、李紈らにそのことを伝えた。
すぐさま人を遣って知らせる李紈。鴛鴦は暗い顔で続ける。
「鳳奥様も気の毒ですわ。あれだけしっかりやっていて、あの方を恨んでいる人も多いのですから。かといって、大人しくしすぎるとなめられてしまいますし。それにしても近頃は、女房さん達にほんと困らされます。ちょっとしたことですぐ陰口叩いたりあら探しをしたり。探春様の前でなんですけど、近頃はご隠居様があなたばかり可愛がるのがムカツク、なんていう話も耳にしますの」
探春「そんな人達の言い分、いちいち気にしてられないわ。でも、こんなことならいっそ平凡な家の方がいいわね。貧乏だけど、みんな心から楽しく暮らせるもの。うちは裕福だけど、それはそれで大変なことがあるんだわ」
宝玉「探ちゃんみたいな考え方はよくないな。僕らはつまんない連中の言葉なんか気にせずに、のんびり富貴を楽しんで暮らせばいいのサ!」
尤氏「あなたの考え方も極端ですよ。将来のことなんかどうでもいいだなんて」
宝玉「人間いつ死ぬかわからないんだしw 姉妹達と一日でも長く遊べればそれでいいわw」

・帰りがけ、鴛鴦は門の近くまで来たところ、用を足したくなって木陰を探す。すると、石の裏手で何やらうごめく影が…。よく見ると、迎春づきの侍女・司棋のようだ。まったく何やってんのかしらと苦笑しながら、鴛鴦は怒鳴りつける。
「さっさと出てきなさいよ。あんたのような身分の人が、夜中に遊び回ってるなんて!」
 慌てて出てきた司棋は目を真っ赤にして、いきなり鴛鴦のそばへひざまずく。何事かと思えば、司棋の背後にはもう一つの影。それも若党らしい。
 夜の茂みに若い男女が二人…何をやっていたのか察しがつき、真っ赤になる鴛鴦。果たして司棋の後ろから出てきたのは若い男で、彼女の従弟だという。泣きすがる司棋。
「あたし達の命はお姉様次第です。後生ですから…」
「安心して。誰にも言わないわ」

次回を待て

小言
賈政の帰省、史太君の誕生祝いなどのイベントが続く中、ますます風紀乱れる一家の有様が描かれる。タイトルでもちょっと触れたが、今回の原題には「嫌隙人有心生嫌隙 鸳鸯女无意遇鸳鸯(鴛鴦が思いがけず鴛鴦に会う)」とある。鴛鴦(カップル)にかけた洒落である。いやあの、シチュエーションが全然笑えないんですけど。
今回は前半の老女達の一件や鴛鴦達の会話で、賈家がいかに堕落しているかが描写されているが、とりわけマズイのが司棋の事件だろう。何といっても、司棋はお嬢様づきの侍女であり、使用人達の中ではエリートに属する身分である。侍女見習だった紅玉や堕児が悪事をやらかすのとはわけが違う。司棋のような立場の人間が規則を犯したということは、屋敷がそれだけ乱れている証拠でもある。
数回前は尤二姐相手に大暴れした王煕鳳だが、王夫人や邢夫人といった姑連中に対しては逆らえず、どこまでもしおらしげ。王煕鳳の苦しみは決して賈家のような大家庭に限ったことではないが、彼女の場合上には怖い姑連中、下には口の悪いババァ連中と板挟みに責められているので、その苦しみもひとしお、といったところか。

気になる人物達
王煕鳳…今回は可哀想なヒロインポジション。頑張ってる彼女を嫌いになれない読者は多いんじゃないかと思う。
史太君…八十歳の誕生日。王煕鳳をねぎらう。
邢夫人…鴛鴦お妾事件以来、史太君からの覚えがよくない。また今回、南安太妃のお声掛けで探春が呼ばれたのに、自分のところの迎春が呼ばれなかったことがご立腹。さらにまた煕鳳が自分のところの老女を罰したので、彼女に恨みを抱いていた、というわけ。
尤氏…近頃出番が増えてきたが、その度に無能ぶりをさらけ出す。
賈政…お役目を終えて帰ってきた一家の大黒柱。気ままに読書したりお客とを碁を打ったり、くつろいでいる。
賈宝玉…何も考えずゴージャスな暮らしを楽しめばいいじゃん、という典型的貴族思考。終わってる。
林黛玉・薛宝釵・薛宝琴・史湘雲・賈探春…南安太妃のお声掛けで呼ばれた史太君ご自慢の娘達。迎春…哀れ。
鴛鴦…何つーか、アレですね、現代で言うなら「女子トイレに誰か入ってると思って近づいてみたらXXXの真っ最中だった」みたいな。最悪。潔癖な性格の鴛鴦には辛かろう。今回は下々の人間と史太君の橋渡しとして立派に活躍。姉さんいいね!
司棋…迎春の侍女。何ヤラかしてんだコイツは…と思う読者もおられることだろう。実は今回の一件、過去回(第二十六回)で伏線らしきものが張られていたりする。容姿はぽっちゃり気味らしい。彼女の顛末については次回にて。
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C.O.M.M.E.N.T

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