第七十五回 やがて月は欠け始めて…


・尤氏は王夫人のもとへ顔を出そうとするが、甄家の人間が例の捜索騒ぎの件でやってきていて立て込み中。そこで李紈の部屋を訪ねる。惜春との言い争いのせいで、元気の無い尤氏。そこへ宝釵・探春・湘雲が相次いでやってきて、昨晩の事件について話すのだった。

・史太君は家の件で落ち込んだ気分を晴らそうと、八月十五日のお月見祝いを計画。その日は奥方と一緒に食事の席を囲む。

・ふと席を立った尤氏は、夫の様子を見に行く。近頃、喪中の賈珍は弓稽古をする名目で人を集め、こっそり賭博をやって毎日どんちゃん騒ぎをしているのだった。そこには薛蟠らおなじみの顔ぶれも。中でも邢徳全という男は酔いに任せて姉である邢夫人らの悪口を言いまくる。尤氏はそれを聞いて憤慨するのだった。

・翌日は十五日のお月見。家族が揃ってにぎやかな宴になったが、それでも以前に比べて人が減り、どこか寂しげな感じ。

・興に任せて、一同は爆弾ゲームを始める。太鼓の音に合わせて花束を回していき、太鼓が止まったところで花束を掴んだ人間が笑い話をすることに。一度目に花を手にしたのは賈政。恐妻家の話で皆を笑わせる。
続いて花を手にしたのは宝玉。何分怖いオヤジの前なので、笑い話で受けを取れなかったら叱られるし、かといっていつもの調子で変な話をしたら「勉強もせずにけったいなことばかり考えおって」と叱られるかもしれないと及び腰。そこで辞退しようとしたが、賈政に止められ、詩を作るよう命じられる。史太君の前で恥をかかぬよう、賈政が詩の形式にも配慮してくれたので、宝玉もどうにか作ることが出来た。その後、花は賈赦、賈環の手に。賈赦は笑い話で皆を笑わせるが、内容が孝行息子のお話だったので史太君に皮肉を言われる。賈環は宝玉と同じく八行詩を書くが、政はその出来を見てやや不愉快に。一方、賈赦は環を褒める。
「わしらのところは武家で身を立てたのだし、本も多少読めるくらいがちょうどよいのだ。この子は気骨があるし、将来は世襲のお役目を継ぐだろうよ」
 やがて夜も遅くなったので、史太君の声で殿方連中は引き取るのだった。

小言
中国の八月十五日といえば中秋節。家族が一家団欒で過ごす伝統的な一大イベントである。とても華やかな場面のはずだが、どうにもどんよりした空気が漂っている。それでも、後半の悲惨さに比べればまだまだ明るいムードだったり。
第七十三回では下々の人間が賭事に興じていることで史太君も怒りを爆発させたわけだが、今回は何と主筋の人間達が賭事に興じている。もう本当にどうしようもない状況。
ちなみに宴席で登場した爆弾ゲーム(とまあ仮にこう称してみましたが、実際どういう名前かは不明)は酒令の一種。今回は他にも沢山の遊びが出てくる。

気になる人物達
史太君…周囲の異変を目ざとく察知するが、王夫人達が必死にごまかすので結局気がつかず。
尤氏…惜春のことが結構ショックだった模様。でもまああなた日頃から惜春の面倒見てあげたわけでも無いし。
薛宝釵…自分だけが家宅捜索を受けなかった疑いを晴らそうと、尤氏らのもとを訪れる。う~む、気の回る子だ。
賈珍…寧国邸ダメンズナンバーワン。余りのクズっぷりにフォロー出来ません。
賈蓉…いつも親父の都合のいいように使われている。ある意味、苦労人なのか?
賈政…珍達の弓稽古の真相には気がつかず。宴席では笑い話で皆を沸かせる。お堅い人だが、こういうセンスはあるんだね。ちょっと意外。
賈宝玉…怖いオヤジの前で、あんまり宴席を楽しめていない模様。
賈赦…宴席では孝行息子のお話で史太君に睨まれる。あんた自分の日頃の行いを忘れたのか。
賈環…近頃は少なからず勉強もしていた様子。賈赦に目をかけて貰う。ここでもっと頑張れば好感の持てるキャラなのになあ。
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