第七十七回 さようなら、晴雯



・王夫人は病気の王煕鳳のために、上等の朝鮮人参を渡してやろうとする。が、部屋中探してもロクなのが見つからない。どうも以前人にやってしまって切らしてしまった模様。そこで宝釵が進み出る。
「町で売っている人参にろくな物はありませんから、私達の家でつき合いのある人参屋に分けて貰って来ましょう」

・その後、王夫人は中秋のイベントも終わったので、棚上げになっていた侍女どもの大掃除に着手。まずは騒動の犯人だった司棋を追い出し、続いて自ら宝玉の部屋へ乗り込む。そして晴雯、四児、芳官(また、他の部屋にいる娘役者達も)の三人を追い出してしまう。そして襲人らに今後このようなことが無いようお説教して去るのだった。

・突然の事態に何も出来ないまま、ショックを受ける宝玉。襲人に慰められるが、気持ちは晴れないのだった。

・翌日、こっそり晴雯が身を寄せている従兄の家へ向かった宝玉。再会した晴雯はすっかりやつれ果て、元気だった頃の面影は微塵も無かった。お茶を飲ませてくださいと頼まれ、棚からぼろぼろの茶碗を持ってくる宝玉。急須から注いだ茶は見た目も悪ければ臭いも酷く、とても飲めそうな代物ではない。が、晴雯はそれをおいしそうに飲むのだった。
宝玉「何か言いたいことはある?」
晴雯「一つだけ心残りですわ。私はあなたを誘惑しようなんてこれっぽっちも思わなかったのに、こうして糾弾されてしまうなんて、とても納得出来ません!」
晴雯は悔しさに泣きながら、自分の形見として着物と爪を渡す。そして宝玉の上着を自分にくれと言う。そうすれば、大観園にいるのと同じ気持ちであの世へ行けるから、と。

・そこへ晴雯の兄嫁が帰ってきてしまったため、宝玉はやむなく立ち去る。その晩、宝玉の枕元へ別れを告げにくる晴雯の姿が。
「みなさま、お元気で。私はここでお別れです」
 朝になってすぐに彼女の消息を確かめようとするが、王夫人に呼ばれてやむなく出かける宝玉。

・そこでは、王夫人と賈政が部屋で待っていた。上機嫌な賈政は宝玉、環、蘭を連れて客人の前で詩を披露させるつもりだった。そこへ芳官の義母達がやってきて、芳官・蕊官・藕官の三人が出家したがっている旨を告げる。仏門はそんなに簡単に入れるものではありません、と王夫人は気に入らなかったが、そばにいた尼に説得され、三人を出家させることにしたのだった。

次回を待て

小言
いよいよ来てしまった大観園崩壊の時。ここから紅楼夢は完全鬱展開に移行する。今までのキャッキャウフフな展開が嘘のよう。次々と消えていく登場人物達にはただ涙、である。そういうわけで鬱展開スタンバイ。皆様お覚悟を。

気になる人物達
賈宝玉…夢の楽園がどんどん崩壊していくのを、晴雯の死ではっきり自覚し始めることになる。
晴雯…再会した宝玉へ、自らの想いを吐露する。自由気ままに生きてきた彼女だったが、その結末は余りに悲しい。
花襲人…王夫人から妾として重んじられるようになってきたため、行動をいよいよ慎むように。晴雯の死で宝玉を気遣うも効果が無く、主従の心はどんどん離れていく。襲人にしてみれば悪気はないだけに、やるせない。
芳官…宝玉の侍女見習い。柳五児を宝玉の部屋に引き入れようとした一件がばれ、追い出しを食らう。
四児…宝玉の侍女見習い。以前宝玉に「同じ誕生日に生まれた者は結ばれる」という冗談を言ったため追い出しを食らう。
柳五児…王夫人の台詞からは死んだことになっているため、原案だとそうだったのかもしれない(晴雯そっくりな彼女の結末は、後の晴雯を襲う悲劇の伏線ともいわれる)。が、現行本では生き延びて終盤でも活躍。
女房軍団…ここぞとばかり王夫人に侍女達の悪口を吹き込み、追い出しの原因を作った。
賈迎春…無力ゆえ司棋に対しても殆どフォロー出来ず。しかし司棋を手放したことが、明らかに後の不幸に直結している。
司棋…結局彼女もここで退場。自分のしでかした不始末とはいえ、やはり哀れ。
王夫人…あ~あ。またやっちゃったよこの人は。仏門がどうとかマジ説得力ないです。
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