2015_06
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(Sun)21:04

紅楼夢 第七十八回

第七十八回 君に歌が届きますように


・史太君へ挨拶にあがった王夫人は、侍女達を追いだしたことを報告。史太君は晴雯の処分にやや疑問を感じたが、王夫人の説明で納得してしまう。

・また、先日の捜索騒動の後で宝釵が園を出て行ったことへ疑問を感じた王夫人だが、煕鳳から説明を聞いて宝釵の思慮深さに感心。再び園内に住むよう宝釵へすすめるが、宝釵は母の具合も悪く、兄の嫁取りも近いからと断るのだった。

・帰宅した宝玉は晴雯のことが気にかかり、早々に部屋へ戻る。そして麝月や秋紋が出かけた隙を見計らい、侍女見習い達を連れ出して晴雯がどんな様子だったかを尋ねる。
「晴雯は何か言ってたかい?」
「一晩中、母さん母さんって呼んでらしたそうですわ」
「他には?」
 片方の侍女見習いは言葉に窮するが、もう一人がなかなか知恵のまわる侍女で、宝玉に向かってでっちあげを言い始める。
「あたくし、罰を覚悟で晴お姉さまをお見舞いにあがったのですけれど、お姉さまはこうおっしゃってました。「私は死ぬんじゃなくて、天上の玉皇様の命令で、花の神様に任命されたのよ」って」
 すっかり興奮する宝玉。
「晴雯は一つの花の神様になったのかな、それとも全ての花を司る神になるんだろうか?」
 侍女見習いは狼狽しつつ、咄嗟に近くにあった芙蓉の花を示す。
「ええとぉ、あたくしもそのことを聞いたんです。何の花の神様になるんですか、この先供養するためにも教えてくださいって。そしたらお姉さまは「あんたに教えるから、宝玉様だけに伝えるのよ。私は芙蓉を司る神になるの」って」
「うんうん、芙蓉はやっぱりあの子のような人が神様になって貰わないと! あの子はそうした仕事をする子だと、私もずっと思っていたんだ」

・臨終に立ち会えなかったのなら、とりあえず霊前でお別れを言おうと、晴雯の家へ駆けつける宝玉。ところが晴雯の兄嫁達は葬儀の金欲しさにさっさと彼女の遺体を火葬場へ送り焼いてしまった後だった。
 仕方なく大観園へ戻ってくると、近くにいた侍女見習いの言葉で宝釵が園から出て行ったことを知る。すっかり気落ちする宝玉。
「侍女達は次々に追い出され、晴雯は死ぬし、宝釵さんも出て行ってしまった。迎春姉さんも近々嫁ぐと聞いたし。今から黛ちゃんと襲人の三人で遊ぼうかな。この三人なら、たぶん死ぬまで一緒にいるはずだから…」

・そんな矢先、王夫人の侍女から呼び出しがかかる。賈政が食客達に宝玉の詩才を披露したがっているというのだ。やむなくそちらへ向かう宝玉。環、蘭と一緒に詩を披露する。

・ようやく開放されて部屋に戻った宝玉は、園内の池に咲く芙蓉を見て、晴雯のためにお参りをしようと決意。いっそ自分らしいやり方でやろうと「芙蓉女児への哀悼」という祭文を書き上げるのだった。

次回を待て

小言
晴雯の死をしのぶ回。宝玉にとって彼女がどれだけ重要な存在かが描かれ、同時に大観園の崩壊についても細やかに言及されている。侍女見習いの嘘を信じ込んで晴雯を花の神とまつる宝玉の姿は滑稽でもあり、また痛ましくもある。宝釵が大観園から出て行ったのは、前回も述べたようにお部屋捜索がかからなかった自分への疑いを晴らすため。
ちなみに、賈政が食客達の前で語る林四娘のお話は、聊斎志異にその元ネタがある。

気になる人物達
賈宝玉…残念ながらまだ現実を直視出来ないようだ。勉強はやらないが、詩作にかけては天賦の才能あり。
王夫人…おめーやりたい放題だな。
史太君…晴雯のことは所詮侍女だし、そんな気にかけてもいられないよね。
晴雯…ちゃんとした葬儀も行われないまま火葬されてしまった。遺品も従兄達の懐へ入って家計の足しに。しかも王夫人からは病気だったから追い出した、ということにされてしまい、結局生前の無実は晴らされず。あ、あんまりだ。
襲人・麝月・秋紋…宝玉部屋の生き残り組。晴雯がいなくなったことで、若干空気も暗くなっている。
薛宝釵…その深謀遠慮な性格が、今回王夫人の目に留まる。悪い子じゃないんだけど、ああもう!
賈政…歳をとったせいか、宝玉の学問嫌いもある程度許容している様子。何だかんだ優秀な息子がカワイイのだ。
賈環・賈蘭…兄貴に比べると素質に欠ける弟と甥っ子。
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C.O.M.M.E.N.T

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