第九十一回 夏金桂のゆうわく! 薛蝌には全然きいていない


 ・夜中になって妙な物音。薛蝌は無視を決め込んでいたが、明け方近くになって誰かが訪ねてくる。戸を開けてみたら、そこには着物を殆ど着ていない、あられもない格好の宝蟾が。薛蝌は驚いたが、それだけ。宝蟾は色仕掛けの効果無しと見るや、果物の皿を取り上げ、さっさと出ていってしまう。

・夏金桂と宝蟾は、もはや薛蟠に見切りをつけており、どちらも薛蝌を狙っていたのだった。しかしとうの薛蝌がまるで無反応ときているから、二人の女も手だてがない。しまいにはお互いの本音を隠しながら口喧嘩をする始末。が、金桂達が薛蝌のことに気をとられているせいで、薛家の中は久しぶりに平穏を取り戻したのだった。

・ある日、夏金桂がおとなしいのを不思議がった薛未亡人が、彼女の部屋を訪ねにいく。すると見慣れぬ男の影が。名を夏三といい、何でも金桂が実家から呼んだらしい。薛未亡人は相手がまともな人間に見えないので、早々にその場を引き取る。夏金桂は、何やら夏三に買い出しを頼むのだが…。

・後日、獄中の薛蟠から、宝釵達に手紙が届いた。
「おかーさんへ。ぼくの ざいじょうを ちじさまは むじつとゆーことで しょり してくれましたが ちじさまの うえのかたは それになっとくせず もういちど じけんを とりしらべる つもりのようです。はやく おとうとを よこして うえのかたがたに はなしを つけてください。ぎんすも たくさん ひつよーです。 だいしきゅうぷりーず」
慌てた薛未亡人は、すぐさま銀子と人手を集めて支度を開始。宝釵もあれこれ手伝ったが、疲労がたたって病気になってしまう。病状は重かったが、何とか回復した。

・薛未亡人は、薛蟠のことを王夫人に相談。王夫人は賈政にそれを伝えるが、あまりいい顔はしなかった。そこで話題を変える王夫人。
王夫人「薛家はもう身内ですし、宝釵ちゃんを早く嫁入りさせてあげるべきでは?」
賈政「わしもそう思っていた。だが、薛家では最近ごたごたが多いから、来春に式を挙げればよいだろう」

・塾から帰ってきた宝玉は、宝釵の病気を人づてに聞いていたので、その様子を薛未亡人に尋ねる。婚礼前のことだからと、薛未亡人は二言ばかり答えてあとはダンマリ。

・その後、黛玉のもとへやってきた宝玉。いつかの日みたいに禅問答を繰り広げていたところへ、秋紋が知らせを届けてくる。
「若様、旦那様がお呼びですわ」
慌ててその場を立ち去る宝玉だった。

小言
まるで金瓶梅のようなストーリーが繰り広げられる回。夏金桂と宝蟾、二人の女の腹黒いやり取りが見物。妾vs正妻というパターンは以前にもあったが、尤二姐や秋桐がまるで王煕鳳に太刀打ちできなかったのに対し、宝蟾はなかなかいい勝負をしている。これも家庭内における正妻の権力の違いだろう。王煕鳳は味方になってくれる人間を数多く従えているが、夏金桂の場合は誰もいない。だから宝蟾もある程度強く出ることが出来るのだ(彼女自身も妾だしね)。
また、後半の宝黛だが、実は禅問答を隠れ蓑にお互いの心情をぶちまけていたりする。本音がいえない封建社会だからこそ、こういうウィットに富んだやり取りが生まれるのだ。

気になる人物達
薛蝌…兄嫁とその妾コンビの誘惑を退ける。というか、結構な朴念仁じゃないか?
夏金桂…薛蟠を完全に見限った模様。バカ旦那の代わりにその弟を籠絡しようという発想は、金瓶梅の藩金蓮そっくり。何やら裏で画策しているようだが…。
宝蟾…ビッチ! が、薛蝌には効果ナシ。まあアホな主とアホな旦那様の間で苦労しているのは同情する。
薛蟠…もう処刑でいいだろこんな男。
薛未亡人…バカ息子のためにまたしても賄賂運動を開始。ああ、貴重な銀子が消えていく…。
薛宝釵…母のお手伝いで疲弊し、倒れてしまう。やっぱりいーとこのお嬢様だけに体は丈夫じゃないのだ。
賈宝玉…結婚カウントが近づいていることは露知らず。
林黛玉…体調も回復し、宝玉と平常運転に。しかしその楽しい日々も後僅かだとは気づかず。
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