第九十三回 さだめとあれば、心を入れ替える


・臨安伯の屋敷から、賈赦と賈政に招待が来た。生憎、賈政は急な仕事が入ってしまったので、代わりに宝玉を行かせることに。

・賈璉は年貢取立ての係りの者から、衝撃的な知らせを受ける。何でも地元の下級役人が賈家へ運ぶ荷物を強引に奪ってしまったのだという。怒り心頭の賈璉は使用人を呼ぶが、皆出払っていて誰も来ない有り様だった。

・臨安伯の屋敷へやってきた賈赦と宝玉。沢山の賓客が揃ったところで、舞台の一座が現れる。その役者達の中に、見覚えのある人物が。誰かと思えば蒋玉函だった。数年ぶりに再開した彼はちょっとした財を蓄え、男ぶりも上がっていた。そして近頃は伴侶募集中らしい。あんなに立派な男の人に嫁げるお嬢さんは幸せだろうなあ、なんて思う宝玉。
その後、蒋玉函のお芝居を堪能して帰路に着いたのだった。

・賈家では、賈政と賈璉が先日荷物を盗まれた件を相談中。賈璉は使用人達を集め、勝手に出払ったり怠けたりする連中は厳罰に処すことを告げる。そんなところへ、表から見慣れぬ人物がやってくる。それは南の甄家で働いていた使用人で、名を包勇という男だった。甄家は先日、朝廷の捜索を受けて家がガタガタになってしまい、それで古馴染みの賈家に使用人の働き口を頼んできたのだった。賈家も人が一杯で余裕はないのだが、断ることも出来ず、ひとまず本人と話をすることに。会ってみればなるほどなかなか真面目そうな男。そのうち、話題は甄家の若様に及んだ。
賈政「お前の屋敷の若君も宝玉というのだったな?」
包勇「はい。実は変わったお話がありまして。若様は昔から姉妹達と遊ぶのが大好きで、まったく勉強に身を入れなかったのですが、先年大病にかかって昏睡し、目が覚めるとそれは別人のようになったのです。何でも夢の中で、若い娘に廟へ案内され、中にあった沢山の帳簿をご覧になったとか。それから奥部屋では、沢山の娘の幽霊に会い、思わず泣き出してしまったそうです。まあそんな病気があって、今では以前の気性がすっかり無くなり、勉学に励み家の再興に尽力しているのです」

・ある日、賈政が出かけようとすると、下男たちがひそひそ言葉をかわしている。
「あのう、旦那様。今朝門のところにとんでもない文句を書いた紙が貼っておりまして…」
下男が見せた紙には、何と水月庵の管理を任されている賈芹がそこの尼達といちゃついている、と書いてあった。賈政はその場の人間に急ぎ口止めをし、賈璉に犯人捜索を命令。

・で、水月庵の尼達は、本当に毎日賈芹とよろしくやっていたのだった。その日も昼から飲ま飲まイェイ、というところで古株の使用人、頼大に急き立てられてやむなく賈政のもとへ。が、賈政は急な用事が入り出かけてしまう。後を引き継いだ賈璉は、賈芹に水月庵の仕事を与えた王煕鳳を恨むのだった。

・使用人達の間では口止めも全く効果が無く、噂があれこれ広まっていた。平児からその話を聞かされ、さすがに動揺する煕鳳。そこへ賈璉もやってくる。賈芹が現れるや、早速水月庵の件を問いただす。一体どこから話が漏れたのやら、許しを請う賈芹。賈璉はあんまり事を荒立てても後々の処理が面倒だからと、賈政の前では何を聞かれてもしらばっくれるように賈芹へ言いつけるのだった。

次回を待て

小言
前半は甄家の没落について。甄家については本編でも余り表だって話が出てこないので、初読だと恐らくわからないことだらけなはず。今回甄家の下男、包勇から語られた不思議なお話は、後の賈宝玉に起こる出来事の伏線になっている。
後半は賈家の不穏な事件を描く。あっちこっちにボロが出始めているが、いかんせん賈政は自分の仕事で手一杯、賈璉や寧国邸の主人格はいい加減ときているから、どんどん状況は悪化している。ちなみに、賈芹のことを張り紙で告げ口したのが何者なのかは明らかにされていない。

気になる人物達
賈宝玉…賈赦と共に臨安伯の宴席へ。古馴染みの蒋玉函に出会って浮かれている。おいおい。
賈政…いつもいつも魔の悪いところでお仕事の声がかかる。
賈赦…あんまり宴会には乗り気じゃなかった模様。
蒋玉函…役者。現在では一座の頭になって、ちょっとしたお金持ち。現在婚活の真っ最中らしいが?
甄宝玉…包勇の会話内にて登場。彼が夢の中で行った場所というのは…まだヒミツ。
包勇…ここにきてまさかの新キャラクター。紅楼夢でも珍しい忠義に厚い使用人。
賈芹…久々の再登場。かと思えばろくなことをやっていなかった。
芳官…もともと一本気な性格だったせいか、出家してからは真面目に過ごしている。そのため、賈芹の誘いにも乗らなかった。



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