第九十九回 新婚無用!



・王熙鳳は、結婚してからよそよそしい宝玉と宝釵の様子を、冗談交じりに史太君ら奥方一同へ聞かせる。史太君は夫婦になって一層礼儀をわきまえている宝釵に感心したのだった。

・話代わって、新しく任地へやってきた賈政。地元の官吏は税をピンハネしてウハウハやっていた悪党ばかりだったのだが、真面目一徹の賈政がやってきたことにより、収入源が途絶えてしまって恨み骨髄。次々に暇を出して去ってしまう。
 
・そんな中、門番頭の李十児という男は巧みに政へ取り入って仕事を任されるように。部下が動かないので困っていた賈政は、彼の本性にも気づかぬまま、すっかり頼りにしてしまう。

・ある日、以前金陵の同僚だった官吏から手紙が届く。なんとそれは縁談の申し込みだった。息子に探春を嫁がせたいというその頼みを、政はまんざらでもないと思い込む。そんなところへまた別の知らせ。薛蟠を無罪にした県知事が弾劾されたというのだ。当然、薛蟠は死刑に逆戻り。そればかりか、県知事に依頼をしたのは他ならぬ政なので、このままでは自分にも危険が及ぶと不安がる。折しも、長官からの呼び出しがあったので、やむなくそちらへ向かうのだったが…。

小言
物語はやや落ち着いて、宝玉の新婚生活と任地へ向かった賈政のことが語られる。離散した姉妹達についても詳しく語られており、もはや大観園には昔日の面影無し。
後半は紅楼夢らしからぬ政治的なエピソード。まさに中国のお役所ならではのお話。なかなか興味深い。実は中国の下っ端役人というのは、自分達の俸給だけでは食べていけない者が殆どだったりする。そのため、税のピンハネや賄賂が常識のように行われる。役人に限らず、中国では自分の理を通すのに袖の下を使う場面が非常に多い。堅物の政は賄賂を突っ返してしまうが、そうなると困るのは彼の部下達で、生活も出来ない。めぐりめぐって役所の仕事まで機能しなくなった、というわけ。汚職だらけの官吏は最悪だが、堅物の清官もそれはそれで問題を起こすのだ。本当に有能な官吏は、清濁どちらも備えた人物でなければならない、ということか。中国で有能とされる統治者が、一方でかなりマイナスな一面を持っていたりするのはそのせいかも。

気になる人物達
賈宝玉…いくらか以前の調子を取り戻したが、通霊宝玉が無いせいで半分痴呆状態。
薛宝釵…妻になってからは一層礼儀正しく過ごすように。そのせいで宝玉とは余計に溝が深まってしまう。
襲人…すっかり小姑くさくなってしまった。宝釵と一緒にいるとどうしても小物キャラに見えてしまう。
薛宝琴…婚礼を控え薛未亡人のもとで暮らしている。
史湘雲…結婚が決まったため、宝玉と会っても形式通りの挨拶をかわすだけ。以前のように騒がなくなり、何だか寂しい。
邢岫煙…迎春が嫁いだので、邢夫人のもとで暮らしている。たぶん苦労が耐えないだろう。
王熙鳳…史太君らを慰めるためとはいえ、黛玉への物言いはあんまりだ。
賈政…スーパー堅物。新地へ着任早々トラブル続き。
周瓊…政と同郷の官吏。以前からつき合いがあり、探春のことを約束していた。その後沿海地方へ赴任したので縁談も自然消滅していたが、今回政が同じ場所へやってきたので、再び縁談の話を持ちかけた、というわけ。
薛蟠…有罪へ逆戻り。そのまま地獄へ堕ちてしまえ…といいたいところ。だが! 
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