第百二回 道士DEゴーストバスターズ!


・王夫人は柳五児が賈宝玉の部屋に入ると知って、嫁の薛宝釵に厳しく管理するよう言いつけた。

・賈探春は出立の前に、宝玉へ別れの挨拶。最初は泣いていた宝玉も、妹にあれこれ諭されてどうにか涙をおさめる。

・大観園は黛玉・宝釵・湘雲・迎春といった姉妹がいなくなってしまい、めっきり寂しくなった。辛うじて残っていた惜春や李紈ももとの住まいへ戻ってしまい、園の管理をする使用人がいくらかいるだけになった。
 探春の見送りに出ていた尤氏は帰りがけに大観園に立ち寄ったのだが、家へ戻った途端重病にかかってしまう。医者を呼んだがいっこうに良くならない。これは幽霊の仕業に違いないと、賈蓉は占い師を呼ぶ。

・毛半仙といういかにも胡散臭げなその占い師は、大観園にひそむ幽霊が尤氏を病気にさせたのだという。しかもこのままでは災いは広がるばかりだとか。

・その日を境に、賈珍や賈蓉が次々病気にかかる。中には、晴雯の従兄の妻のように亡くなる者も現れた。噂はさらに拡大し、園内の人々は幽霊に怯えて逃げ出してしまう。

・騒ぎの中で、賈赦は「ゆうれいなんかいるはずがない」と、ポカポカ晴れた日に重武装した家人を連れて園内へ踏み込む。が、無人になって寂れた大観園はゴースト庭園そのもの。ビビりながら突き進んでいると、家人達があっちこっちで幽霊を見たと騒ぎ出す。賈赦も本気で怖くなってしまい、邪気払いを決意。
 吉日を選び、ドデカい祭壇を設置、道教の神サマの像を大量に並べ、さらに大勢の道士達を招いて盛大なお祓いをさせる。あまりにも大袈裟なイベントに何人かは呆れかえるが、その後ばったり幽霊騒ぎも絶え、病気になっていた者も回復したのだった。

・後日、ようやく落ち着いた賈赦のもとへ、賈璉が知らせを届けてくる。何でも賈政が弾劾されてしまったというのだ。驚いた賈赦は、急ぎ王夫人に報告するように命じたが…。

小言
探春が去っていく中、前回の話を受けて幽霊騒ぎが描かれる。紅楼夢が描かれたのは、日本でいえば江戸時代頃。当時はまだ幽霊を信じる人も多かったことだろう。ちなみに、それまでは大観園の畑から収穫した作物が家計の足しになっていたのだが、(第五十六回における探春達の改革によるもの)今回の騒ぎでそれが無くなってしまい、家計がさらに苦しくなっている。
またラストで賈政の弾劾騒ぎが出てくるが、これはもちろん賈政に仕えている小悪党・李十児の仕業。賈政がすっかり彼を信用しているので、部下達が悪事を働きまくっているのにも気がつかなかったわけ。真面目な人間が必ずしも名官僚になるわけではないという、ちょっとした清官批判になっている。

気になる人物達
賈宝玉…幽霊騒ぎに怯える。おいしっかりしろ。
薛宝釵…王夫人からの信頼厚い若奥様。もちろん幽霊騒ぎなど信じない。
王夫人…宝釵が自分の右腕(言いなり)になってくれることを期待している模様。言い方は穏やかな感じだが、宝釵への言葉には朗かな脅しが入っている。
柳五児…正式に宝玉の部屋へ入ることに。本人は今回姿を見せず。
尤氏・賈珍・賈蓉…幽霊騒ぎの被害者。まあこれまで悪いことしてきたからね。
賈赦…毎度のことながら情けない栄国邸の主。お祓いによってお金を豪快に使ってしまった。
賈探春…今回でしばらく退場。宝玉に対しては詳しい別れの描写があったものの、弟の賈環や侍女達に対してはどうだったのだろうか。


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