2015_12
27
(Sun)23:23

紅楼夢 第百六回

第百六回 ああ無情



・賈政が史太君のもとへ駆けつけると、鴛鴦らの呼びかけによってどうにか意識を取り戻したところだった。それでも史太君の嘆きは深い。幸いにも、天子より賈政は罪を免れこれまで通りの役職で出仕せよとのお知らせが来る。

・賈璉を問いただした賈政は、甥がまるで家計を管理できていない事実を知り、先行きに不安を感じる。よく考えてみたら甥にしろ息子にしろ下の世代には使い物になりそうな人材もいない。嘆き悲しんでいるところへ、賈政の無事を知った友人たちがねぎらいの言葉をかけにきた(その中に紛れて、迎春の夫である孫紹祖がちゃっかり銀子の返済を要求してきたりもしたが…)。

・賈璉は身の回りの不幸に何の手立ても打てず苛立っていた。煕鳳に高利貸しの恨みをぶちまけたかったが、彼女の病気が重いのでぐっとこらえる。煕鳳の方はすっかり事態を悲観して、死にたくてならぬ様子。

・史太君は宝玉と宝釵がつきっきりで看護してくれたこともあり、いくらか回復していた。住む場所も根こそぎ奪われてしまった寧国邸のために、自ら采配を振るって住居を手配してやる。賈璉はやりくりする金が無いので、仕方なく土地を切り売りしていたが、使用人はその有り様を見て逃げ出したり、自ら主人名義で金を使い込む始末。

・ある日、史太君は一人で中庭に出て焼香を始める。
「天の菩薩様。私めは賈門の史氏でございます。これまでの月日、私めは家や夫の助けにこそなれませんでしたが、悪事だけは一度もいたしませんでした。この度、子や孫が過ちを犯しましたが、それは全て私めの躾がいたらなかったゆえでございます。何卒その罪は私め一人に負わせ、下の代の者達はお救いくださいますよう…」
 それから部屋に戻ったが、涙の止まらない史太君。その場にいた王夫人・宝釵・宝玉ももらい泣きしてしまう。不意にやってきた賈政は、史太君を慰めもせず一緒に泣いている家人を叱りつけた。唯一もたらされた吉報は、結婚した湘雲が夫と仲良くやっているということだった。

・屋敷の使用人名簿を見ていた賈政は、そこに載っていない人間がいるのに気がつく。何と使用人の管理もデタラメだったのだ。頭がくらくらする賈政のもとへ、急ぎ参内するよう声がかかったが…。

次回を待て

小言
家宅捜索騒ぎが一段落した後の家の惨状が描かれる。結局、寧国邸は滅亡同然の状態。面白いというかお国柄を感じるのが使用人達の行動。主人が傾いた途端、大勢の者がトンズラしたり金を使い込んだりする。何とも不義理な連中だが、中国では物語に限らず現実でもこういう行動をする者が多い。まさに金の切れ目が縁の切れ目。ただ、中国という国で生き延びて行くにはそうした損得勘定が必須ともいえる。日本と違って、いざという時国の助けが期待出来ない中国。それなら自分の身を守るためには個人で最大限の努力をしなければならない。まあ、だからといって彼らの行動全部を肯定は出来ないけれど。

気になる人物達
賈政…暴かれる家計事情を知りショックの連続。胃に穴があきそう。
賈璉…なんか被害者ぶってますけど、家計が傾いたことについてはあなたも責任あんでしょーが。妻への態度も酷すぎる。
王熙鳳…逞しかった彼女が弱っていく姿を見るのは辛い。
平児…病気の熙鳳を必死に看病。最後の良心。
秋桐…病気の熙鳳には知らん顔。
史太君…一族のために焼香して祈りを捧げる。
賈宝玉…一族の没落を悲しむ。って、自分が頑張ろうという気は無いのかー!
薛宝釵…焼香していた史太君が泣いているのを目撃して自分ももらい泣き。兄は獄中、夫は役立たず、家計はガタガタ。さすがの彼女も耐えられなかった。
邢夫人・尤氏…寧国邸の生き残り。肩身が狭そうだ。
史湘雲…婚礼を控えていたため家に駆けつけられず。
孫紹祖…迎春の夫。家が傾いたと知るなり銀子の返済を要求。凄まじいクズ。
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C.O.M.M.E.N.T

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