2015_12
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(Thu)21:41

紅楼夢 第百七回

第百七回 カーチャン オカネ ノコッテタヨ



・参内した賈政にもたらされた知らせ。裁判の結果、寧国邸は財産没収、賈赦と賈珍は流刑のうえ服役ということに決まった。賈政はお咎め無しでこれまで通りということに。

・帰宅した賈政は早速史太君にそれを報告。史太君は悲しんだが、邢夫人や尤氏の悲しみはそれにも増して大きい。史太君が流刑になった子供たちへ少しでも金を持たせたいと言うので、賈政は思い切って財産のことを打ち明ける。
「実は金庫はすっからかんで、そのうえ借金まであるのです。兄達の世襲職も取り上げられて入ってくる金も無く、親戚も揃って落ち目なので、やはり助けてくれそうにありません」
「なんということ! この家がそこまで追いつめられていたのかい。見てくれだけが立派で、実際は落ちぶれきっていてたとはねえ!」
 その後、賈赦達が帰宅した。泣きに泣く一同。史太君は流刑になった息子のために銀子を工面しようと、鴛鴦を呼び寄せて自分の部屋にある金品を運ばせた。そして見事な采配でそれらをしかるべき者達へ渡すのだった。

・その後、王熙鳳の具合が悪いと聞いて自ら見舞いに向かう史太君。高利貸しの件が知れてきっと恨まれているだろうと思っていた熙鳳は、その気遣いに感激するのだった。

・後日、賈赦と彼に突き従う使用人を見送った賈政が屋敷に戻ってくると、何やら異変が起きていた。賈政が世襲職を次ぐことになったと聞いて、大勢の人間がご祝儀をねだりに来ていたのだ。しかし家計の苦しさは相変わらず。家事をとるべき熙鳳は病にふせり、賈璉は土地を売ってしのぐしか能がない。そんなわけで使用人達は少しずつ家から逃げていこうとする。

・そんな中、先日甄家からきた新顔の包勇だけは、真面目に仕事をこなしていた。周囲の使用人はそんな彼が気に入らず、度々主人へ悪口を吹き込む。
 ある日、包勇は賈家が弾劾された時まるでスルーしていた賈雨村の噂を聞いた。飲んで酔っぱらったある日、通りを進む雨村の一行を目撃したので、馬車に向かって痛罵する。それを見た別の使用人はここぞとばかり主人へ「あいつは酒を飲んで主人を罵ってました」と告げ口する。さすがの政もこれは放っておけず、包勇を叱るのだった。

次回を待て

小言
崩壊していく賈家のエピソードが続く。後半は家を見限った使用人達の態度がとにかく酷い。真の悪党はこいつらなんじゃないかと思いたくなるほど。まあ主人達に問題があるから、下の人間も無能ぞろいになるんだろうけど。そして賈家が落ち目になった時は距離を置いていたくせに、賈政の復帰を聞いた途端お祝いに群がる友人連中もまたうざい。これまた中国のドラマや物語でよく見かける光景だけど、とうの中国人はこういう有様を恥ずかしく思わないんだろうか…?
ちなみに流刑になった賈赦と賈珍だが、賈赦は国境付近にある駐屯地、賈珍は沿海方面で服役することになった。服役といっても肉体労働のようなものではなく、うんと地方へ飛ばされて役所勤務するイメージの方が正しい。当時の辺境地域は住居環境も治安も最悪だろうから、これで充分な罰になるわけである。

気になる人物達
史太君…息子から明かされた衝撃の真実に大ショック。自分の持ち物を家族に分け与えるが、読んでいて悲しくなってくる場面。
賈政…家計を見るのが不得手で、事態を打開できないでいる。外では有能なんだろうけどね。
賈赦…栄国邸の主人。良民をいたぶった咎で有罪。良民というのは、四十八回で登場した石阿呆のことらしい。賈赦は賈雨村の協力で石を陥れ、彼の持っていた珍しい扇子を強奪している。
賈珍…尤二姐・尤三姐を法に従わず埋葬した咎で有罪。
王熙鳳…病気が悪化中。どん底。
尤氏・蓉夫婦…寧国邸の残りカス。嘆き悲しむばかりの無能軍団。
賈環…宝玉や蘭、惜春が史太君から財産を分けて貰う中で、何も貰えなかった様子。ちょっと哀れ。
包勇…紅楼夢でも珍しいまともな使用人。が、報われない。
賈雨村…賈家弾劾の時に巻き添えを恐れて知らん顔をしていた。まあ賈赦や賈珍の行いは自業自得だから助ける意味があるかといえば微妙だし、そもそも官僚の処世術としては間違いじゃない気もする。忘恩不義の輩といわれる雨村だが、忠義心ゼロな賈家の使用人達に比べ、ずっとまともなのでは。
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