龍の髭 春秋梅菊のブログ
中国のあらゆる時代を舞台に、オールジャンルで小説を書いています。 一人でも多くの方に中国小説を好きになっていただければ幸いです!
紅楼夢 第百十七回
第百十七回 宝玉、俗世やめるってよ


・僧の出現に慌てる一同。しかし、そこへ宝玉があたふたとやってくる。
「私のお師匠様が来たって?」
 飛び出していき、すぐさま僧に応対する。
「お師匠様、出迎えが遅れて申し訳ありません」
「お前に用はない。金だけ出してくれれば良いのだ」
「急ぎ準備させますゆえ、今しばらくお待ちを。それよりお師匠様は太虚幻境からいらっしゃったので?」
「来るところから来たまでじゃ。逆に聞くが、それならお前の玉はどこから来たのかね?」
 僧の暗示で、再び悟るところのあった宝玉。
「あなた様も銀子は入りませんね。玉をお返ししましょう」
「そうすべきじゃな」

・部屋へ戻って宝玉を掴み、僧のもとへ戻ろうとする宝玉。ところが襲人にぶつかってしまう。
「まあ若様。奥様が銀子の算段をしているところですのに、どうしてこちらへお戻りに?」
「銀子はいらない。玉を返せば済むことだから」
 仰天する襲人。
「な、何をおっしゃるんです! その玉は若様の命も同然じゃありませんか!」
「心配ないよ。僕にはもう「心」が戻ってきたんだからね。今更玉なんか必要無いんだ」
「そんなのいけません!」
 泣き叫びながら、宝玉にむしゃぶりついて離さない襲人。
「どうしても返すつもりなら、まず先に私を殺してくださいませ!」
「あんたが死んだって、返すものはかえすんだよ!」
 侍女見習いが慌てて王夫人らを呼びに向かう。騒ぎを聞きつけた紫鵑も、襲人と一緒に宝玉を止めにかかった。
 
・そこへ駆けつけた王夫人と薛宝釵。
「お前、またおかしくなったの!」
 怒鳴る母を前にして、仕方なくごまかす宝玉。
「あのお坊さんのがめつさに腹が立ったから「こんな玉は偽物だ」と言いがかりをつけて、追い返すつもりだっただけですよ」
「だったら侍女達にもそう話せばいいことでしょう! こんな大騒ぎをするなんて」
 宝釵はひとまず僧にお金を払うことを提案。そして宝玉がどうしても僧に会いたいというので、彼を離してやるよう侍女達に命じる。やれやれと笑う宝玉。
「まったくあんた達ときたら、人間より玉が大事みたいだな。それならいっそ、僕があの僧と一緒に去って、玉だけ残していこうかね」

・宝玉の様子が心配な王夫人は、侍女見習いに命じて宝玉と僧の会話を探らせる。やがて戻ってきた侍女見習いだが、彼らは「大荒山」だの「太虚幻境」だのワケワカランことを話していたという。不安が倍増する王夫人。宝玉が戻ってきたので問いただしてみたが、本人は「世間話をしてただけですよ」と適当にあしらう。
 これには黙っていられない宝釵。
「あなた、しっかりしてください! 今はお殿様も奥様もあなただけが頼りなんです! 功名を上げ立身出世をしてくれるよう願っていますのよ!」
「ふうん、でも功名って言うんなら「一人が出家すれば、後の七世が往生する」とも言いますけどね」
 息子が出家するつもりだと知って愕然とする王夫人。宝玉は冗談だと言ってごまかした。

・そこへ賈璉がやってくる。何でも賈赦が任地で病気になったので、急ぎ見舞いへ出立したいのだという。家事を見る者がいなくなってしまうが、今はやむを得ない。賈璉は巧姐を王夫人に託して出かけるのだった。

・賈政や賈璉などがいなくなり、賈芸・賈薔らは王仁などのクズを寄せ集め、連日のドンチャン騒ぎ。酒に酔った勢いで賈家の夫人達や亡くなった王熙鳳の悪口を言い、ついには巧姐を売り飛ばす話を持ち出す。

・賈惜春の出家の決意は揺るがず、尤氏はとうとう自分が責任をとるということでそれを許したのだった。

次回を待て

小言
前回に引き続いて答え合わせの回。惜春や襲人を待ち受ける運命を知った宝玉は、すっかり俗世への興味を無くしてしまい、僧との対話で自分が何者なのかを知る。ちなみに前八十回だと男性キャラクター(賈瑞や柳湘蓮)を仙境へ導くのは道士の役割だったような気がするのだが…一応、二十五回で通霊宝玉を清めたのは僧だったので、続作者も役割分担としてそちらを踏襲したのだろう。また賈薔達の会話中では、妙玉をはじめとするキャラの末路が語られている。

気になる人物達
賈宝玉…前回の幻境訪問ではヒロイン達の運命を理解したが、今回の僧との対話で自分自身の運命を悟る。
薛宝釵…可哀想以外のコメントが思いつかない。
襲人…彼女の末路を知った宝玉は、それまでとまるきり態度を変えてしまう。長年苦労して尽くしてきた襲人が可哀想。
王夫人…男衆がいなくなり家庭を任されるものの、あんまりやる気が無い模様。息子も大事だろうが家の方も心配しろよ。
賈璉…父親が重病と聞いて僻地へお見舞いに。いつの間にか大分まともになってました。
平児…熙鳳がいなくなった後も変わらずしっかり者。素敵。
秋桐…毎日ギャーギャーうっさいので、実家へ引き取らせることに。まあつまり離縁ってことね。
豊児&小紅…王熙鳳が去った後暇乞いをした模様。小紅は林之孝がまだ屋敷に仕えてるのに去っちゃったのか。ぞんないな扱いで残念。
賈赦…僻地でのお仕事が堪えたのか病気に。自業自得ですけど。
邢夫人…本来なら彼女が巧姐の祖母にあたるので、賈璉は彼女に子守を依頼すべきなのだが…息子からも無視されるってどんだけ人望ないんだ。
賈蘭…真面目に勉強中。いい子。
賈芸・賈環・賈薔…賈家のゴミカス達。芸は現行本だと完全に悪党だが、原版では良心的な人物だった模様。
王仁・邢徳全…若様達にたかる金魚のフン。名前だけはご立派。
彩雲…王夫人の侍女。遊びほうける環を健気に説得するも追い返される。可哀想に。相方の彩霞はめっきり出てこないが、やっぱり下男とくっつけられたんだろうか。
玉釧児…狂った宝玉の有様を見限って暇乞いした。終盤で脇キャラがどんどん退場していく展開は金瓶梅と似ている。
妙玉…賊に拐かされた後、抵抗したため殺害された模様。
賈雨村…貪欲な行いのため弾劾文を出されてしまう。その運命やいかに。
賈惜春…ついに出家を許される。自分で選んだとはいえ、決して幸せな道ではないと思うんだけどなあ。
尤氏…半分は保身のためなんだろうけど、それでも惜春の出家を認めてやる。ちょっぴり大人らしいところを見せた。
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中国のあらゆる時代を舞台に、オールジャンルで小説創作をしています。
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