2016_05
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(Fri)22:40

三国志演義 第四回

第四回 董卓「今日からこの俺様が朝廷のニューリーダーだ!」


・李儒の説得で、ひとまず血が流れる事態は避けられた。しかし袁紹は官を辞して去ってしまう。袁紹は名家なので、みだりに敵にまわすのもまずい。董卓は臣下達と話し合い、とりあえず袁紹を地方の主に任命して出方を見ることにした。

・その後、董卓のもと劉協が新たな皇帝に。不満に思う臣下もいたが、誰も逆らえない。少帝・何皇后・唐妃(少帝の妃)らは宮殿の片隅に追いやられ、侘びしい暮らしを強要される。そしてある時、董卓は李儒に命じて三人を殺害するのだった。

・皇帝の側近となった董卓の権力は絶大になり、逆らう臣下は殺し放題。彼を暗殺しようとする勇敢な者もいたが、以来董卓も防備を万全にしたので誰も近づけなくなった。

・大臣の一人である王允は、ある日古馴染みを宴会に招き、涙ながらに言う。「国賊董卓により国は明日をも知れぬ身。悲しくてなりません」

・これを聞いた客人たちもみな涙を流さずには…と思ったら一人だけ笑い出す男がいた。曹操である。
「朝廷の大臣が揃ってめそめそ泣き、董卓一人殺れないとはお笑い草だぜ! この俺様が奴の首を掻っ切って天下の見せしめにしてやろう! 俺様はその日のために、董卓の糞野郎の前でへこへこ仕えていたんだからな!」

・曹操の計画は以下である!
1、珍しい宝刀をプレゼントする口実で、董卓のそばへ近づく。
2、油断した董卓を刺し殺す!

・で、計画当日。曹操が董卓に拝謁する。
董卓「来るのがおせーじゃねーかよ」
曹操「すんません。馬がやせ馬なもんで」
董卓「俺の地元にいい馬一杯あるから持って行けよ」
 そう言って、かたわらで護衛をしていた呂布に馬を取りに行かせたので見張りはゼロに。さらに、最近肥満気味の董卓は座るのもだるいのか、何と曹操へ背を向けて寝転がる始末。まさに千載一遇のチャンス! 曹操が刀を抜き放った。しかし…天は彼に味方しなかった。董卓は何気なくそばの鏡を見て、刀光が自分へ迫ってくるのを発見、振り向いて曹操を怒鳴りつける。
 が、曹操もさるもの、途端ににこにこしながら「いやぁ珍しい刀献上しに来たんすよぉ」と誤魔化す。そこへちょうど呂布が馬を連れて戻ってきた。曹操は「うわぁ、いい馬っすね! 早速乗っていいすか?」とか何とかいいながら、二人の目を盗み全速力で逃げ出した。

・董卓は曹操の挙動が怪しかったので呂布と相談。その後李儒の調べもあり、やはり曹操の目的が暗殺だったと気づく。すぐに指名手配として逮捕状を出したのだった。

・こちら曹操、関所であえなく捕まってしまう。自分は商人だと言い張ったものの、尋問であっさり素性がばれた。
県令の陳宮は曹操をよく知っていたので、今回のことで興味津々。
陳宮「何故董卓を襲ったりしたのだ?」
曹操「うっせーな。さっさと俺を連行して褒美でも貰えよクソッタレ」
陳宮「私はそんなつまらぬ人間ではない。一体、どこへ逃げるつもりだったのだ?」
曹操「国に戻って、他の諸侯と董卓をぶっ殺してやるつもりだったんだよ!」
 話を聞いて、曹操こそ報国の士だと判断した陳宮。即座に牢屋から出すと、支度を整えて彼と共に出発した。

・途中、義兄弟の呂伯奢が近くにいるので泊まっていこうと提案する曹操。呂伯奢は陳宮が曹操を救ったと聞き、もてなしのために酒を買いに出かける。と、家の奥で刀を研ぐ音が。もしかすると呂伯奢は朝廷の褒美に目が眩んで自分を殺すつもりなのでは…曹操と陳宮は先手を打って、家の奥にいた家族を殺害。が、よく見てみると曹操達を殺そうとしていたのではなく、ただ家畜を屠っていただけだった。

・誤解とはいえ人を殺めてしまったので、急ぎ逃げ出す曹操と陳宮。ところが運悪く帰りがけの呂伯奢に会ってしまう。曹操はその場で相手を殺してしまった。
これに我慢がならないのが陳宮。
陳宮「さっきの家族は思い違いゆえ仕方ないが、何故呂殿まで手にかけるのだ!」
曹操「家族が殺されているのを見たら、こいつは俺達を恨むに違いない。俺が天下の連中を裏切るのはいいが、天下の連中が俺を裏切るのは許せん!」
 曹操の奸雄イズムに頭が真っ白になる陳宮。数里も行ったところで、不意に曹操へ刃を向けた。
「私はおぬしを立派な男と見込んでついてきたのだ。だが、貴様のような奴は生かしておけぬ!」

 曹操危うし! まて次回!


小言
悪の十常侍が消えたかと思ったらもっとあくどい董卓が現れ平和は遠のく一方。そして董卓を倒すべく立ち上がった曹操もまた…という、まさに乱世の無茶苦茶な有様を描いている名エピソード。三国志演義の序盤はテンポ・ストーリーともに非常に優れている。とはいえ個々の描写がシンプルすぎるので、現代の読者には物足りない部分もあるかもしれない。特に初期の(というか全般的にいえることだけど)中国古典小説は心情描写が乏しい作品が多い。なので日本作品におけるカッコいい曹操のイメージが強いと、演技の描写は物足りなく感じるはず。もののついでに話しておくが、単純に三国志という物語を楽しみたいのであれば、本作を読むより日本人作家の書いた最近の作品を読むほうが全然面白い。一つには、日本人が書いているから嗜好が合うし、二つには先ほども述べた心情描写、人物の掘り下げの深さがしっかりしているから。三国志ファンでも「演義から読んでハマりました!」というのは少数だろう。まあ、演義は演義なりの味があるので、今後もぼちぼちそこらへんを語っていきたいと思いマス。

気になる英雄達
董卓…わかりやすいくらいに堕落していく。デブであることが強調されている。
李儒…あくどい。しかし任務をきっちりやり遂げたり、曹操の暗殺意図を見抜いたり相変わらず有能。
献帝(劉協)…少帝を廃立して即位。皇帝といってもほぼ権力無し。
少帝…僅か五ヶ月で廃位。そして毒殺されてしまう。毒殺のきっかけは自分の身の上を詠んだ詩だったが、たぶんいずれ何かの口実で殺されたことだろう。
袁紹…董卓と袂を分かつが、その後なかなか行動しない。呑気に王允へ「最近どーですか。董卓さんやばいから、時期を見て一緒に謀反しよ?」と手紙を送るだけ。まあ慎重な性格ともいえるが。
王允…朝廷の大臣。董卓の暴政を嘆き悲しむ。
曹操…デカい口叩いておきながら暗殺はあっさり失敗。おいおい。嘘がバレて陳宮に捕まるという失態の後も「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや」などとのたまう。そのうえ勘違いで人を殺したうえ、超傲慢な自分ルールを宣言。なるほど確かにアンタは大物だよ。
陳宮…志の高い県令。曹操を大物と見込んだが、その残虐さを知って見限る。
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C.O.M.M.E.N.T

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