第八回 すまんな呂布。この貂蝉一人用なんだ


・江東軍の人質となった黄祖と孫堅の亡骸を交換することにした劉表。両軍は戦闘をやめて引き上げる。孫策は父の葬儀を済ませると、天下の賢人を集めて少しずつ国力を高めようとする。

・孫堅の死を知った董卓は安心し、新首都の長安で贅沢三昧。まさに絶好調。

・司徒の王允は董卓の横暴を目にして一人思い悩む。ある晩、養女である貂蝉を見かけ、ふと董卓を潰す計画を思いついた。その名も連環の計。

・連環の計とは以下の内容である!
1、呂布に貂蝉を与えると約束する。
2、と見せかけ、一方で董卓にも貂蝉を与えると約束する。
3、さすれば二人は仲違い! イエス天下太平!

・早速計画は実行された。ある日、王允は呂布を宴会に招いて貂蝉と引き合わせる。呂布は貂蝉にメロメロ。ちょろい。その場で「将軍に娘を献上しますよ」と口約束。

・その後、王允は董卓を招いて宴会。貂蝉を引き合わせれば、やはり董卓も貂蝉にメロメロ。やはりその場で「娘を献上しますよ」と約束。

・呂布は貂蝉が董卓の邸宅へ運ばれていくのを見て不審がり、王允へかみつくが、うまくはぐらかされてしまう。案の定、貂蝉は気がつけば董卓の側女ということになっており、呂布は怒り心頭。が、相手が董卓なので逆らうことも出来ず。

・とうの貂蝉は、呂布と董卓どちらにも気があるような振りをしてみせたので、次第に両者の仲は険悪に。ある日、呂布が貂蝉と目配せしているのを見かけた董卓はぶち切れ。李儒は必死に主を説得。董卓は呂布に謝罪してその場は仲直りした。しかし、呂布は貂蝉を忘れられずにいた。

・さらに別の日、董卓と皇帝が話している隙をついて再び貂蝉に接近する呂布。
「あたくし、将軍様のそばでお仕え出来ると喜んでいましたのに、思いがけず董卓に捕まって体を汚されてしまいました。もうこのうえ生きていられません。あなた様の前で死なせてください!」
 身投げしようとする貂蝉を慌てて抱き留める呂布。
「今生ではもう夫婦になれませぬ。来世でお会いしましょう」
「いやそれはいかん! 必ずお前を妻にするぞ」
「わたくしの一日は一年のようです。今すぐお連れください!」
「うむう、それは難しいな……」
「あなた様があの老いぼれをそんなに恐れているのでは、結婚なんて無理ですわね! 天下第一の英雄かと思っていたのに、これほど臆病なお方とは!」
 泣き出す貂蝉を慰めるうちに、呂布はその場を動けなくなってしまう。そんなところへやってきた董卓。二人の密会を見て激怒し、呂布を殺そうとする。逃げる呂布を追いかけると、誰かが前に立ちはだかり……。

待て次回

小言
かの有名な「連環の計」を描いたエピソード。困った時に貞淑な女性を犠牲にして問題を解決するというやり方は、中国古典小説でよくあるパターンの一つ。しかし現代人の感覚からすると多分に封建主義的なにおいがするので、気に入らない方も多いのでは。ちなみに「連環の計」の本来の意味は、複数の策略を重ね合わせて用いること。王允が用いたのは色仕掛けをする「美人計」と仲違いを発生させる「離間計」。これら二つを併用したことを「連環の計」と呼んでいるわけ。まあコンボみたいなもんである。
冒頭では董卓の豪勢な暮らしが描写されている。長安の外れへ城を築くのに二十五万人を動員したとか、倉庫に二十年分の食料を備蓄したとか、色々と数字的に突き抜けすぎだが、こういう大袈裟な描写も中国古典小説の面白いところ。

気になる英雄達
王允…貂蝉を利用して董卓を潰そうと画策。自分の手で直接ぶち殺そうという気概はないんですか。
董卓…万事が思いのまま、というところまで来たが、ここで彼の運にも陰りが。逢い引き現場を見つけて呂布を追いかけるが、肥満気味で追いつけない姿が笑える。
呂布…あっさりと王允の計略にかかる。おつむが残念なので逢引きしてもすぐバレてしまった。
貂蝉…今回のキーパーソン。三国志演義では貴重な女性キャラ。でも人物造型はいわゆる通俗小説のテンプレそのもの。中国古典小説をそこそこ読めば、この手の女性キャラクターを腐るほど目にするはず。なので意外と面白味が無い。まあ三国志演義はそもそも女性が目立つ作品ではないからこんなものか。
李儒…クールに悪役をこなしていた彼だが、貂蝉の出現にややうろたえ気味。

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