第十回 曹操「テメーは俺を怒らせた」


・李傕、郭汜は献帝を殺そうとする。しかし張済、范疆が帝を活かすべきと主張。四人は皇帝に官位を寄越すよう要求。やむなくこれを呑む献帝。

・四人は董卓の骨を拾い集めて納棺する。が、埋葬の日になると暴風雨に見舞われ、墓はぐしゃぐしゃに。その後も墓を立てる度に同じようなことが起こり、結局きちんと埋葬出来ずじまい。天が董卓の行いを憎み、罰を与えたのだ(だったら生きてるうちにやっとけよ…)

・支配者に落ち着いた李傕達は暴政を敷いてやりたい放題。これを見かねて、西涼の太守・馬騰と并州の刺史・韓遂が十万の軍隊を率いて長安へ進撃。対する李傕らも出陣。両者の軍勢がぶつかる中、西涼側から現れた若き武将・馬超に大将である王方と李蒙を討ち取られてしまう。

・馬超の強さにたじろいだ李傕は、賈詡より提案された持久戦に作戦を切り替える。すると二ヶ月も過ぎるうちに西涼軍は兵糧が尽きてしまった。そのうえ、長安で内通していた仲間も殺されてしまい、やむなく撤退した。

・西涼軍が去ってから、長安はしばし平和を取り戻す。ところが、今度は青州で反乱が発生。折しも東郡の太守になっていた曹操は、その討伐を命じられる。

・圧倒的な強さで賊をボコボコにする曹操。投降してきた者から選りすぐりの精鋭を自軍に加えて、戦力を大幅に増強。彼の勇名は瞬く間に広まり、朝廷から鎮東将軍の位を授かる。

・その後、曹操は各地から名士を招く。もと袁紹配下の荀彧、その甥の荀攸が最初に参じる。そして荀彧の紹介で程昱が、程昱の紹介で郭嘉が、郭嘉の紹介で劉曄が、さらに劉曄の紹介で満寵と呂建が、さらにさらにこの二人の紹介で毛玠が…といった調子で天下の賢材が集まってくる。他にも、部下の夏候惇が武勇に達者な典韋を連れてきたりと、曹操のもとには知・勇それぞれに秀でた人材が揃ったのだった。

・すっかり地盤もかたまった曹操は、領地へ父をはじめとする家族を呼ぶことに。曹操の父・曹嵩は家族や使用人含めた数百人とたっぷりの財産を持って曹操のもとへ向かう。

・徐州の太守である陶謙は、領地を通過する曹嵩ご一行の姿を見かける。かねてから曹操とよしみを結びたいと考えていた陶謙は、五百余りの兵をボディガードとして曹嵩ご一行に献上する。陶謙「ワシいいヤツ♪」
 
・ところがどっこい、ボディガードのリーダーである張闓は、曹嵩ご一行の財産に目をつけてこれを略奪。曹一家はことごとく殺されてしまう。

・父殺害の知らせを受けブチ切れる曹操。「陶謙はコロス! 奴らの一族は皆殺しにする!」ん?前に自分も勘違いで良民一家を惨殺しただろうって?知らんなぁ。ともかくも大軍を組織して徐州ジェノサイドへ向かう曹操。ある日、袂を分かった陳宮がやってきて、兵を引くように曹操を説得。が、そんな話をこの男が聞くはずもなく。陳宮は嘆息して去るのだった。

・曹操の大軍は進撃を開始。民は殺しつくされ、彼らが通った後にはぺんぺん草も残らぬ有様。陶謙は最初こそ迎え撃つ姿勢をとったが、敵の数は多く、敵いそうにない。やむなく投降しようとした矢先、「私にいい考えがあります」と、一人の男が進み出てきたのだが…。果たして!

小言
登場人物が出てきては退場していく忙しい回。初読だとはっきり言って混乱するだろう。史書を下敷きにしているから仕方ないのだろうが、はっきり言って現代の読者には優しくない。まるで人名を羅列した世界史の教科書でも読まされてるような感じ。特に序盤はそれが顕著。古典だからやむなしとはいえ、演義がとっつきにくい理由の一つではないか。
李傕達によって一応は平定された長安だが、自分だったら絶対こんなとこ住みたくない。どう考えても荒廃してる風景しか想像つかない。
そして後半の見どころは曹操の仲間集め。ここも殆ど名前の羅列なので、初読の方は退屈だろう。通しで二、三回読むと誰が誰だかもわかっているので、結構ワクワクする場面。

気になる英雄達
李傕・郭汜・張済・范疆…長安を征服。もっとも都とったくらいじゃ天下平定には程遠い状況。長安の民衆に骨の髄まで恨まれてるであろう董卓をきちんと埋葬するあたり、義理堅い連中なのかもしれない。いやでも相手があの董卓じゃなあ…。四人とも結構武勇に優れている。
賈詡…四人の脳筋を支える優秀な幕僚。西涼軍撃退も彼の計略によるものであり、長安の治安維持にも一役買っている。
馬騰・韓遂…西方を治めていた将軍。李傕達は賊軍であるとして長安に攻め込むも結果的に敗北する。
馬超…馬騰の息子。若干十七歳ながら武勇に秀でた名将。王方・李蒙を打ち取る。本格的な活躍はまだこれから。
曹操…ご存じ乱世の出世頭。青州軍を組織し、さらに優秀な人材を配下に加えて勢力を着実に伸ばしていく。物語後半の虐殺は徐州大虐殺とも呼ばれ、彼の残虐ぶりを示すエピソードの一つ。おしょろしい。
鮑信…曹操と共に賊の平定に向かう。が、迂闊な突撃をしてあっさり死す。
荀彧、荀攸、程昱、郭嘉、劉曄、満寵、呂建が、毛玠…なんかワラワラと現れてきたがとりあえずこの回では気にしなくていい。
夏候惇・于禁…曹操配下。徐州ジェノサイドの先鋒を務める。
典韋…曹操軍のニューフェイス。得物の双戟はそれぞれ八十斤の重さ、計百六十斤を軽々と振り回す。陣地で激しい風が吹いて大旗が倒れ掛かった際、おろおろする兵達を尻目に片手でそれを支えるエピソードもあり、力持ちであることが強調されている。が、わかりやすいパワータイプのキャラかと思えば、夏候惇が初めて彼を見た時は虎を追いかけていたとのこと。足も速いのかよ。曹操もその強さを認めたのか、徐州攻めでは先鋒に加えられている。
曹嵩…曹操のパパ。息子の領地へ移動中、張闓の反乱に襲われる。デブな妾と一緒に厠へ隠れていたところを殺されるという、あまりにも情けない最期。
曹徳…曹操の弟。かといって何の見せ場も無く死亡。
陶謙…徐州の太守。良かれとやって思ったことが完璧に裏目に出る。乱世って怖い。
張闓…陶謙配下。曹一家を皆殺しにして財産を持ち逃げ。その後の消息は不明。うーむ、このいい加減な退場のさせ方も、演義の味といえば味なんだけど。
陳宮…第五回以来の登場。陶謙のために曹操を説得するも効果なし。

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