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2017_10
17
(Tue)00:34

三国志演義 第二十一回

第二十一回 英雄トーク!

・馬騰が名を挙げたのは他でもない劉備。しかし、先日の狩りでは曹操の横暴を見ても淡々とした様子だったので、果たして味方に引き入れていいものか迷う一同。そこで董承自ら劉備を訪問。探り合いの末、劉備が信用に足る男だと結論。二人は意気投合し、打倒曹操を誓うのだった。

・劉備は曹操に怪しまれないよう、田畑を耕してのんびり暮らしている風を装う(そっちの方が明らかに怪しいと思うんだが)。これには関羽と張飛も怪訝な顔。

・ある日、曹操の屋敷から許褚が劉備を迎えに来る。もしや暗殺計画がばれたのか、と勝手に焦る劉備。が、いざ曹操のもとを訪ねてみれば、一緒にお酒を飲もうということらしい。

・差し向かいで飲みながら、ふと曹操が尋ねる。
「貴公は各地を転々としてきたゆえ、当世の英雄についてもご存じであろう。遠慮はいらんから、ひとつ教えてくれんかね」
「はぁ…。それでしたら、淮南の袁術殿は勢力も大きく、まさに英雄ではないでしょうか」
「あぁん? あいつは墓場のガイコツじゃな。近いうちに踏み潰してくれる」
「むう。河北の袁紹殿はいかがでしょう?」
「ハハッ。奴は見せかけだけの張りぼて。ただの小物じゃ」
「で、では九州に名高い劉表殿などは、英雄と呼べませんか?」
「あやつのは虚名じゃ虚名
「江東の孫策は、今かなり勢いがあるようですが……」
「無い無い。親の七光り
「益州の劉李玉は?」
「ただの番犬じゃん」
「張繍、張魯、韓遂――」
ゴミじゃな
「今挙げた以外ですと、私は英雄など存じませんが」
「フッフッフ…英雄というのはな、胸には大志、腹には謀、宇宙を包む豪気、天地を飲み込む志を持つ者のことじゃ」
「それは誰のことでしょう」
「そなたと、このワシじゃよ」

雷ピシャーン!

・曹操の衝撃的な一言に箸を落とす劉備。が、咄嗟に言いつくろう。
「雷にびっくりして、箸を落としてしまいました」
 そんなところへ、剣を手にした人影が乗り込んでくる。関羽と張飛だった。劉備が曹操の屋敷へ連れ去られたと思い、慌てて駆け付けたのだった。その場で誤解を解き、さらに酒を飲んでようやく宴はお開き。
帰り道、劉備は弟達へ説明した。
「畑を耕していたのは、曹操に我が計略を見破られぬため。先ほどは突然英雄呼ばわりされ動揺してしまったが、雷のせいにして何とか誤魔化せたようだ」

・翌日も曹操から飲みに誘われた劉備。そこへ、袁紹が公孫瓚を破り、今度は袁術と手を結ぼうとしているとの知らせが。劉備は公孫瓚への恩もあり、また彼の配下である趙雲のこともあり、袁紹を討伐したいと申し出る。快く兵を貸し出す曹操。郭嘉と程昱は慌ててストップをかけたが、後の祭りだった。これにより、劉備は五万の兵を得た。

・袁術は玉璽を手土産に袁紹と合流しようとするが、その通り道には劉備の徐州がある。案の定、相手は袁術を待ち構えていた。紀霊を筆頭に次々と軍勢を繰り出すも、戦力の充実した劉備軍には敵わず敗走。途中で賊に襲われ、有り金も食べ物も失い、味方はバタバタ死んでいく。袁術も疲労困憊、喉の渇きに蜜水を求めたが、返ってきたのは「蜜なんか無いよ。あるのは血だけだよ」。ショックを受けた袁術は寝床で一斗(2リットル)もの血を吐き、死んでしまう。彼の持っていた玉璽は紆余曲折を経て曹操の手に渡った。

・さて、袁術を始末したにも拘わらず、劉備は貸した軍を返さない。これには曹操も怒り。ひとまず徐州にいる車冑に謀反を起こさせようとしたが、関羽・陳珪親子の働きで車冑は殺害され、張飛はその家族を皆殺し。曹操配下の人間を殺しては一大事と、劉備は慌てるが、関羽と張飛はヤル気マンマン、陳登まで曹操を倒す秘策があるというが…。

果たして!

小言
袁術死すの回。残念ながら曹操の評した通り、何ともあっけない幕切れとなった。それよりも見どころなのが曹操と劉備の英雄談義。もともと演義が蜀びいきということもあるのだろうが、曹操にわざわざ劉備こそ英雄であると言わせているのが面白い。劉備が箸を落とすくだりは、前後の緊迫感もあってかなりの名場面。
話は袁術に戻るが、上でも書いたように一斗=2リットルもの血を吐いて死んでいる。しかしこれはあくまで漢代の一斗に換算した数値で、実際に本作が書かれた元~明あたりだと、一斗の値は約10リットルくらい。多くの通俗小説は書かれた時代の生活習俗・度量衡が反映されているので、案外後者の方が正しいのかもしれない。そうなると袁術はアクエリアス五本分もの血を一気に吐き出してしまったことになるが…。う~ん、それはそれで凄まじい死に方だ。単位といえば関羽愛用の正龍偃月刀も、明代基準なら約五十キロの重量級武器だが、漢代基準ではその三分の一まで重量が落ち込み、印象が相当ショボくなってしまう(というか、そもそも正龍偃月刀なんて武器は漢代に存在しない)。設定面に口出しすると、いい加減ぶりが目に付くのも通俗小説のお約束。こういうのは、物語のツッコミどころとして楽しむのが○。

気になる英雄達
劉備…慎重派な我らの主人公。ところが周りは全然彼に歩調を合わせてくれない。
関羽・張飛…何かと殺気立っている弟達。曹操に対しても遠慮なし。ついでに兄貴の気持ちもお構いなし。それでいいのか。
曹操…発言とか態度に遠慮がなくなってきた。劉備の野心を見抜く鋭さを持つ一方、まんまと兵をパクられるあたり、やはり頭がいいんだかバカなのかようわからん。
郭嘉&程昱…何度も劉備には気をつけろと言っていたが、主には全然聞いてもらえない。
許褚…曹操の使いとして劉備のもとへ参上。また後半、劉備が曹操のもとから兵を借りた際、それを引き留めるべく派遣される。護衛としての実力は高いが、オツムの方は微妙らしく、あんまり役目を果たせていない。
公孫瓚…袁紹との戦いで戦死。思えば演義ではやたらとやられてばっかりで損な役回りだった。しかし、彼の死で劉備は再び曹操のもとから独立するきっかけを得たわけだし、仇もとって貰ったのだから報われていると言える…のか?
袁紹…公孫瓚を倒し勢いに乗ってきたが、早速曹操にマークされた。なんかもう先が見えている。
袁術…よっしゃ袁紹のところで再起したろ!と思った矢先、劉備に叩きのめされ再起不能に。最後の言葉は「蜜の水が飲みたい」。最後の最後まで情けなかった。

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