2013_05
05
(Sun)01:11

紅楼夢 第一回



『紅楼夢』物語のあらすじ
さる貴族の末裔である賈家を舞台に、不思議な玉を口に含んで生まれた賈宝玉と、彼をとりまく十二人のヒロイン「金陵十二釵」を中心に、一族の主から使用人まであらゆる人々の悲恋を描いた古典小説。様々なジャンルを内包しているのが特徴。物語の背景には幻想的な設定が盛り込まれファンタジー小説の一面もあり、当時の封建時代の精神を批判しているので社会小説的な一面もあり、大家庭の人々の確執が上から下に至るまで細かく描かれているので家庭小説としても読める、そして何より恋愛小説として、主人公の賈宝玉とヒロイン林黛玉の叶わぬ恋が多くの読者を虜にしてきた。
ここでは余計な展開を極力省き、わかりやすい感じで物語を解説していく。


第一回 始まりはいつも不幸から

・むかしむかし、女媧という神サマが世界の綻びを治した。

・その時に沢山の石を使ったんだけど、一個余っちゃった。イラネ。ぽいっとな。

・石「解せぬ」

・そんな石のもとへ坊主と道士がやってきて「現世ってのはよぉ~」と、下界のことについてでかい声で語っている。暇な石がこれを聞き逃すはずはない。

・石「下界へ連れてってくれ、頼む」坊主&道士「おk」

・甄士隠「という夢を見たんだ」。

・士隠君のお隣さん、ビンボー書生の賈雨村君が受験を受けたがっているが、金が無いので貸してやる。士隠「俺いい奴♪」

・が、その後士隠は大転落。娘の英蓮を誘拐され、家は火事で焼け落ち、避難のために身を寄せた実家では岳父に苛められる。

・士隠「こんな人生やだー。出家だー」

次回に続く

小言
ホンマにこんな感じです紅楼夢の第一回。話が余りにも前座過ぎて、初読の方は何が何だかわからないであろうこと間違いなし。でも後になると主人公達がどのような遍歴で下界に降りたのかが第一回の僧と道士のやり取りでわかるようになっている。
上では省いたが、物語を読むうえでの注意書きが作者自身の口から述べられているのもポイント。限りなく要約すると「この作品はどーしようもなく暇な時軽く読むためのものだから、内容はあんまし本気にするなよ、な?」という感じ。実際は作者の情念がこれでもかと盛り込まれ、当時の社会風俗に反する主張も多々見受けられる。こんな注意書きを書くのも、真面目な文人達が「この小説はけしからん!」と怒ったりしないように予防線をはったということだろう。何しろこの紅楼夢、当時の封建社会ではご法度の自由恋愛や女性賛美を訴えている。ほかにも文人の常識だった科挙試験や四書五経などに対して痛烈な批判を浴びせている。もちろん、そうした主張はうまくカモフラージュされているのだが、そこそこ見識のある読者ならすぐに作者の意図は理解できたはず。ちなみに、後代には紅楼夢の物語をけしからんと思ってコンセプトが真逆の小説を書いちゃった作家もいる(「児女英雄伝」の文康など)。
で、当時の習俗に散々逆らったこの小説が人々に受け入れられなかったのかといえば、そんなことはまったく無かった。熱狂的なファンを次々に獲得し、これを批判している文人達ですら虜になっていたほど。中にはヒロインの林黛玉が病弱でしょっちゅう胸を患っているのを読んで、本当に病気になってしまった娘さんとか、「仙境で黛玉たんに会うんだよおお」と失踪してしまった若者もいたそうな。かくいう私も紅楼夢中毒だ。わはは。
またこの小説は、女媧に捨てられた石が道士と坊主によって下界に降り立ち、賈家の隆盛を見届ける、つまり石視点で語られる物語となっているため「石頭記」とも呼ばれる(他にも金陵十二釵やら情僧録やら色んな呼び方がある)。物語中、石がストーリーテラーとして顔を出すこともしばしば。石は本編の主人公・賈宝玉の口の中に含まれて現世に降り立ち、通霊宝玉と呼ばれて大事に扱われる。まあこのあたりは後に詳しく、ということで。
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