第二十回 正月早々喧嘩騒動! そしておしゃべり姫がやってきた!


・宝黛釵の雑談は続く。そこへ、李ばあやが風邪で休んでいる襲人を虐めているとの知らせが。三人は急ぎ宝玉の部屋へ。
黛玉「まったくしょーがない老いぼれバーサンwww」
宝釵「あちらはお年寄りですから、譲ってさしあげないと」

・折しも、李ばあやは襲人へ言いたい放題。
「売女ァ、てめえ大きな顔して休みやがってよお、あん? 風邪だと? 乳母のわしが来たのに挨拶も無しかコラァ! 色仕掛けで宝玉様をたぶらかしてんだろーがッ! 安い銀で買われてきやがったくせに、いい度胸だなァ。てめえなんか下男とくっつけてやんぞ、それでもまだ宝玉様を誘惑出来んのか、あぁん?」
泣くことしか出来ない襲人。宝玉は必死に李ばあやをなだめるが
「おおおん、宝玉様。なぜわしではなく、あんな女狐をかばうのですかああ! あの女狐は部屋の侍女達を牛耳ってわしを虐めてるんですよー! お乳を飲まなくなった途端いらないババア扱いなんて、あんまりじゃー!」

・そこへやってきました王煕鳳。
「まあおばあさん、あっちでお酒でも飲もうよ、ね? 気に入らない奴はあたしが沈めてあげますからさあ」
 見事な手腕でばあやを連れ出す。

・食事を済ませた宝玉が部屋に戻ると、襲人が眠っているので暇に。他の侍女達は外へ遊びに行ってしまった模様。

・と思ったら、一人だけ侍女がいた。麝月ちゃんだった。
宝玉「遊びいかないの?」
麝月「女房や他の侍女さんに息抜きをさせたくて、遊びに出したんです。だから私がお留守番してるんです」
宝玉は感心した。朝、麝月は髪がかゆいと口にしていたので、梳いてあげることに。

・そこへやってきた侍女の晴雯。賭けが負け続けなので、金を取りに来た模様。二人を見て冷笑。
晴雯「あらあ、結婚もまだなのに髪いじりですか。微笑ましいことで」
宝玉「お前の髪も梳いてあげよっか♪」
晴雯「私そんなことして貰うほど若様に愛されてませんしぃ~」
 晴雯が出て行くのを見計らって宝玉が一言。
宝玉「へへん、まったくあいつは口達者だよ」
 聞き捨てならずと戻ってきた晴雯。
晴雯「ちょっとちょっと、私がどうして口達者なんですか! 賭け勝負が終わったら、きっちりお話しなくちゃいけませんね!」

・正月休み頃になり、みんな遊びまくり。薛未亡人の部屋では薛宝釵、侍女の香菱、鶯児がサイコロ賭けの真っ最中。そこへ宝玉の弟、賈環が加わる。最初は買ってウハウハだったが、そのうち負け続き。ここ一番というところで鶯児に負けた環、サイコロの目をごまかして彼女から銭をふんだくる。
鶯児「何するんですか、あたしの勝ちだったじゃないですか」
環環「うっせーな。俺の勝ちったら勝ちなんだよ!」
宝釵「鶯児、譲ってあげなさい。相手は主なんだから。お前を騙したりするはずないでしょ」
 悔しさ一杯の鶯児はついポツリ。「あ~あ、寛大な宝玉様だったら、絶対こんなことしないんだけどなあ」
 兄に比べると容貌も才能も遙かに劣り、おまけに妾腹の環。こう言われてはイタイ。
「ケッ、俺と宝玉兄貴を比べんじゃねーよ! お前らは宝玉宝玉と持ち上げて、あいつの機嫌とってんだろ!」
 そんなところへひょいとやってきた宝玉本人。
「おい環! 遊んでシラケるような真似するなら、他へ行ってこいよ」

・部屋に戻ってきた環。母親の趙氏にあらましを語る。趙氏ブチギレ。
「このバカ! わざわざ遊びに行って、自分から嫌な目に遭うなんてね」
 すると、偶然通りかかった煕鳳が部屋に入ってきて、趙氏を怒鳴った。
「妾の分際で主人の子を怒鳴るとはいい度胸ですこと!」
 そして環にもご説教。
「少し負けたくらいでグチグチ言ってんじゃないわよ。今度つまらない騒ぎを起こしたら皮を剥いでやるから!」

・遊んでいた宝玉達のところへお知らせが。
「史家のお姫様がお越しですよ!」
 史湘雲は賈家の親戚で史太君の孫。大急ぎで駆けつけた宝玉が再会を喜んでおしゃべりしていると、林黛玉が冷ややかな一言。
「あら宝玉お兄様、宝釵お姉様のところで遊んでたんですってね。ま、あの人のところにいたら、私のところへ来る余裕なんかないでしょうしねえ……」
「ちょ、黛ちゃんww 何その言い方。僕は君以外の女の子のところへ行くのも禁止ってこと?」
「ふん、私あなたのことなんかどうでもいいし。ていうか、金輪際あなたに構って欲しいとも思いませんし」
「もう黛ちゃん、そんな不機嫌にしてさ、自分の身をもっといたわらなくちゃ……」
「関係ないでしょ。私が死のうが生きようが」
「お正月早々死ぬだなんてやめようよお」
「うっさいわね! お正月だから死ぬのよ! あーあ、何だかたった今死にたくなってきたわ! 死んでやるっ」
 そこへ宝釵がやってきて(タイミング悪っ)、彼を史湘雲のところへ連れて行く。黛玉が心配な宝玉はすぐに戻ってきた。しかし黛玉はつれない態度。
 そんな場面へ史湘雲が登場。
「もお、久しぶりに来たのにどうして構ってくれないの。林のお姉様と愛しい兄さん(爱哥哥:アイグーグ)は」
「うはwwwおしゃべり好きの癖に舌っ足らずね! 二番兄さん(二哥哥:アルグーグ)も言えずに愛しい兄さん(爱哥哥:アイグーグ)ですって。あんた碁でも一愛三四五って言うんでしょう!」
*宝玉は原文だと「二哥哥」と呼ばれている。昔の中国では相手を呼ぶときに家系の序列を用いることが多い。史湘雲は数字の二(er)をうまく発音できず、愛(ai)と発音してしまうので、黛玉がそれをからかったのだ。
湘雲はにこやかに「林お姉様って揚げ足取りがお好きねえ。でも一人前の揚げ足取りを目指すなら、是非宝釵お姉様の悪口くらい言ってくれなくちゃ!」
黛玉「ふん、あんな立派な人のアラなんか探せないわ」
湘雲「ま、あたしが舌足らずなのは確かですけどね。あたしも祈ってあげますわ。いずれあなたが舌足らずの旦那様をもらい「ちゅきだよ、ちゅきだよ」って毎日聞かされるのをね! あ~あ、その日が楽しみww」

次回を待て

小言
登場人物も揃い、今回からしばらく日常的なお話が続く。
賈家の主と侍女達の複雑な人間関係が掘り下げられている。乳母の李ばあやが部屋の侍女達のリーダー格である襲人へ嫉妬したり、主でありながら好かれていない賈環など。

気になる人物達
賈宝玉…環を叱りつける場面は珍しく男らしい。鷹揚な性格が侍女達に好かれている模様。彼独自の思想「男はきたねー泥の体、女は清らかな水の体」も今回登場。
李ばあや…悲劇のヒロイン気取り。まあ彼女の言い分はわからんでもない。
王煕鳳…李ばあやを大人の対応でなだめる。一方、騒ぎを起こした趙氏母子には厳しい。
麝月…宝玉の侍女。真面目な性格で、宝玉曰く「襲人ナンバーツー」。
晴雯…第八回以降、ちょくちょく登場している宝玉の侍女。自由気ままな性格で、主にも遠慮ナシ。
鶯児…宝釵の侍女。第八回でも登場している。サイコロ遊びではしゃいでいるのが可愛らしい。宝釵と一緒の場面では、よく彼女に叱られている。どうもお転婆な性格を主に好かれていないようだ。
賈環…賈政と妾の趙氏の子供。宝玉とは別腹の兄弟。探春の実弟にあたる。宝玉に比べあらゆる面でスペックが劣り、実の親である政にすら疎まれがち。母親もアバズレ。グレるのも仕方ないかも。
趙氏…賈政の妾。探春と環の母。これ以降のお話でも、何かと騒ぎを起こす。厳格で真面目な政が、なんでこんな人を妾にしたのかは諸説ある。王煕鳳とは度々衝突し、お互いに恨みあう間柄。妾なので、子供達より身分が低い。
林黛玉…今回もお見事なツンツンでした。宝玉とのやり取りで出てきた「私は自分の心に正直でいたいの」は名台詞。
薛宝釵…李ばあやに対する配慮といい、主を重んじ侍女を叱りつける判断といい、封建社会におけるお手本のような子。もっとも、その長所が不幸の原因となって、後々本人に跳ね返ってくるのだが…。
史湘雲…今回が初登場になる史家のお姫様。家の最高権力者である賈母こと史太君の孫。両親は既に無く、叔父のもとで暮らしている。登場が結構唐突なので初読だと面食らうかも。快活な性格でおしゃべり好き、元気満点の癒しキャラ。舌っ足らずなのもチャームポイント。お高くとまってる黛玉やドライな一面のある宝釵に比べ、かなりつき合いやすそう。明るい彼女だが、実家では冷遇されている.
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