2014_10
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(Sat)23:44

紅楼夢 第二十三回

第二十三回 デートメニューはエロ本鑑賞と葬式ごっこ


・元春妃の言いつけで、宝玉は姉妹達と大観園(第十七回、元春帰省のお祝い記念に作られた庭園)へ住むことに。急ぎ家財や侍女達が運び込まれ、引越はスムーズに終了。

・遊びまくっていた宝玉だが、あらゆる遊びを尽くして飽きが来てしまう。そんな折り、若党の茗烟が市井で買ってきた小説本を読み、夢中になる。

・ある日、散った花びらを集めて花のお墓を作っていた黛玉が、宝玉の読書を見咎める。
「あなた、何読んでるの?」
「(慌てて)大学と中庸だよ!」→「大学」と「中庸」はどちらも科挙受験の必須経典である四書の本。
「うそつき。私に見せなかったらお父上にいいつけますからね」
そこで宝玉は、自分が読んでいた「西廂記」を差し出し、二人で一緒に読みふける。

・「西廂記」に感動した黛玉はすっかり中毒に。物語の登場人物の生き様を見て、あれこれ考えをめぐらせるのだった。

小言
宝玉達が大観園へ住むことが決まり、いよいよ話も華やかになってくる。麗しき少年少女達が風流に遊ぶ庭園の光景は、当時の人々のみならず現代の読者をも魅了させること間違いなし。まさに夢の世界が形になったかのよう。
兄弟姉妹が移り住んだ住居はそれぞれ
怡紅院→賈宝玉。
瀟湘館→林黛玉。
秋爽斎→賈探春。
蓼風軒→賈惜春。
紫菱洲→賈迎春。
蘅芜院→薛宝釵。
攏翠庵→妙玉。
稻香村→李紈。
といった感じになっている。室内のこしらえに人物の性格などが反映されているのも興味深い。ちなみに、元春が姉妹達を大観園へうつしたのは、せっかく作った庭園を使わずに寂れさせるのがもったいないと思ったから。
物語の後半は宝玉の大観園における日常パート。遊び飽きて、市井の俗っぽい小説に手を出す。当時、小説は低俗なものであり、学識ある文人が読むべきものではないとされていた。たとえば今回登場する「西廂記」は封建社会で禁止されている自由恋愛をうたった恋愛小説であり、完全に淫本呼ばわりされていた。なので、宝玉の行為は早い話現代のエロ本観賞と同じようなもの。
ちなみにその「西廂記」、現代の我々からしてみたらエロい部分なんか一切ない。簡単に解説すると、ぼろ寺に住んでいた貧乏書生君がそこに居候していた宰相のお嬢様に一目ぼれして、彼女の侍女を仲人に恋愛成就を目指すお話。
姉妹ブログの記事でレビューしているので、よろしければこちらからどうぞ→西廂記
近代以前の中国における男女の礼節はヒジョーに厳しい。例えば「私はあの人が好き、ラブラブなの!」とか素直な感情を人様の前でむやみに明かしたり、未婚の男女が仲良く話をしたりすることすら、礼節にかなわないことだった。
だから宝玉や黛玉は、誰よりもお互いを理解しているはずなのに、そうした封建社会の礼節が邪魔をして、あと一歩のところで仲良くなれない。これは物語だけの話ではなく、当時を生きていた人々も同じだった。
ただし、これらの礼節による感情抑制は学問を会得した上流の人間に起きやすい現象で、下層の人々ならばあまり礼節云々は気にしなかった。だから市井では「西廂記」のような小説がフツーにはやっているわけである。
今回は絵になる名場面が目白押し。黛玉が花びらの墓を作るシーン、宝玉と黛玉が一緒に読書をするシーンなどは、紅楼夢名場面としてよくイラストなんかに描かれる。

大観園の美男美女たち
賈宝玉…お前何のために大観園入ったんじゃ~!
林黛玉…お花が可哀想だからお墓を作ってあげるの……って何て暗い趣味なんだ。
賈政…宝玉が大観園入りすると聞いて、真面目に勉強するようにお説教。
王夫人…宝玉のママ。こちらは息子に甘い。
金釧児…王夫人の侍女。親父にビビる宝玉をからかって口にした「塗りたての唇食べてみない(はぁと)?」の台詞が超キュート。
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C.O.M.M.E.N.T

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