第二十七回 宝釵は見た! 淫乱侍女の悪事! / いけいけ出世だ小紅ちゃん / お花を弔う詩


・泣いて部屋に帰ってきた黛玉。侍女の紫鵑や雪雁は、主がしくしく泣くのは常日頃のことなので、特に気にしなかった。

・翌日は花の神を祭る芒種節。賈家三姉妹や宝釵が一同に会する中、黛玉の姿が見えない。
「私、黛さんを起こしてきますわ」名乗り出た宝釵は瀟湘館へ。

・ところが、瀟湘館近くへくると、そこへ入っていく宝玉の姿を発見。
「黛さんと宝玉さんは昔からの仲良し。私がここで入っていったら、気難しい黛さんが嫌な顔をするかも。やっぱり引き返しましょ」
帰り道、蝶々が飛んでいるのを見かけ、悪戯っ気を起こした彼女は団扇で蝶々を叩こうと駆け回る。

・蝶々を追いかけ回して行き着いた東屋で、何やら話し声。
「ほら、あなたのハンカチでしょ! 返してあげてもいいけど、お礼をちょうだいね。あ、ハンカチ拾ってくれたあの方にもよ」
「殿方がお礼なんかほしがるもんですか。まあいいわ。私のをあげるわよ」
 お話ししていたのは紅玉と堕児の二人だった。
「ねえ、こんなお話を誰かに聞かれたらまずいわ。窓を開けておきましょうよ。人が来たらわかるようにね」
 すぐ外にいた宝釵はギクリ。窓が開いたのを見て、咄嗟にごまかすことに。
「黛さん、そこにいるのね! あら、あなた達、黛さんがいたのを見たでしょう? ここに逃げ込んできたんだから」
「え……見てませんけど?」
「あら、本当? 一体どこいっちゃったのかしら」
 素知らぬ顔で立ち去り、見事侍女二人をやり過ごす。
 一方、残された紅玉は宝釵の嘘に気付かずビビっていた。
「どうしよう? 黛玉様のように口の悪くて気の回る人に、言いふらされたりでもしたら…」

・そこへ、王熙鳳がふらりと現れたのを見かける。紅玉が進み出ると、彼女からおつかいを頼まれた。途中で会った晴雯達に嫌みを言われながらも、最後はきっちり仕事をこなす。

・ミッションを完遂した紅玉を、王熙鳳も気に入った模様。
「あんた、なかなか見所があるわね。どう、私のところに来て働きなさいな。出世間違いなしよ?」
 紅玉にもちろん否やは無い。

・宝玉は黛玉のことが気になって仕方ない。探春と談笑した後、花塚を作り寂しげな詩を吟じる黛玉を見つけるのだった。

次回を待て

小言
名場面沢山の回。そんなわけでタイトルも三つにわけました。
今回は宝釵と紅玉が目立っている。当時の女性の価値観に忠実な宝釵は、常に物事をよく飲み込み控えめに生きている。恋愛感情をあらわにする紅玉や宝玉達とは消極的。別に、どちらが好ましいかという話ではない。封建主義社会の前では、黛玉も宝釵も犠牲者であり、悲劇的な結末を迎えることになる。

気になる人物達
薛宝釵…蝶々を追いかけるシーンは「宝釵撲蝶」として有名。イラストなどにもよく描かれる。ちなみに彼女は楊貴妃型美人(と後の回では描写されている)、つまり豊満な体つきの女の子。いいかえるとデブ。そんな子が蝶々をのしのし追いかけ回している場面を想像すると…ってこれは邪推か。
林紅玉…王熙鳳のもとで働くことになった。恋に仕事に忙しい乙女な娘。この後、何故か出番が急激に減少。
堕児…宝玉の侍女見習い。仲人みたいなことをやった。後にとんでもない事件を引き起こす。
晴雯その他…紅玉へ嫌みを言う。暇だなお前ら。
王熙鳳…紅玉をスカウトする。ちなみにそのシーンでは私の娘分になれと言っているが、紅玉の両親が既に熙鳳のもとで働いているので、紅玉が両親と同格になってしまうことがちょっとした笑い話に。
賈探春…賈家三姉妹の一人。宝玉は腹違いの兄。実の母である趙氏とは仲が悪い。母や弟と違い、人格的にしっかりしている。
林黛玉…「葬花吟」の詩で今回の出番を締めくくる。悲しくも美しい歌に心揺さぶられること間違いなし。これまた「黛玉葬花」と呼ばれる紅楼夢屈指の名場面。
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