2014_11
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(Thu)00:18

紅楼夢 第三十一回

第三十一回 扇子バリバリ気分スッキリ


・襲人の怪我は重い。私、このまま死ぬのかしら…? 

・翌日、襲人に代わって晴雯が宝玉の朝支度。が、誤って彼の扇子を落としてしまう。
宝玉「ちっ、そそっかしい侍女だぜ。こんなんじゃ、先が思いやられるよな!」
晴雯「おやまあ若様、なんか近頃怒りっぽいですね。昨日は襲人さんさえ蹴りましたし、今日は私の番ですか。前は扇子どころか、皿を割ってもにこにこしてましたのに。ま、いーですわ。ぶつなり蹴るなり、お好きにどーぞ。気に入らないなら、追い出せばいいですし」
宝玉「何急いでんだよ。どうせ別れる時が来るんだぜ…」
雲行きの怪しさに、襲人が怪我をおして割って入る。
襲人「もう、お二人とも何やってるんです!」
晴雯「(冷笑しながら)あらお姉様、お口が達者に利けるなら、もっと早く来てくださればいいのに。昔から若様の世話はあなたお一人の専門、昨日はキックまでプレゼントしてもらったんですものね。私なんかじゃとてもそこまでご奉公出来ませんわ~」
襲人「もういいでしょ。あなたちょっと遊んでらっしゃい。私達が悪かったから…」
晴雯「はあ? 私達ってどういう意味ィ? あなたなんかまだ私と同じ身分なのに、もう若様のお部屋様気分ってわけですか? つーか、あなた方の不潔な行為とかモロバレだし!
 これ以上続けたら何を言い出すかわかったものではない。必死になだめる襲人。その努力をぶち壊すかのように反撃する宝玉。
宝玉「わかったよ! 今から母上に申し上げにいく。お前を追い出してくれってね!」
晴雯「私が出て行きたいなんて言いましたか! 勝手に申し上げに行ってくださいな。私、頭をぶつけて死んでもここから出ませんから!」
宝玉「お前が騒いだんだろ! 出てってくれた方がさっぱりだ!」
 これはまずいと、襲人が宝玉の前でひざまづく。「どうかおやめください!」晴雯以外の侍女達もこれに倣った。宝玉が混乱した矢先、にやにや顔でやってきたのは林黛玉。
「あらまあ皆様、おめでたい日に何故泣いておりますの?」
 彼女の乱入によって、ひとまずその場はおさまった。

・薛蟠の招待で飲み会に参加し、ふらつきながら戻ってきた宝玉。見れば中庭の椅子で誰かが眠っている。たぶん襲人だろうなと思って声をかけたら、晴雯だった。
晴雯「また私をなぶりにきたんですか」
宝玉「(晴雯を抱き寄せながら)まったく、お前を甘やかしすぎたね。今朝はちょっと文句を言っただけなのに、あんなに騒ぐんだから」
晴雯「何で手なんか握るんですか。人に見られるからやめてください。つーか、私なんてここで休む資格も無いし」
宝玉「資格がないならなんで座ってるんだよお」
晴雯「若様がいない間は良かったんですっ! ほら、もう放してください。行水してきますから」
宝玉「僕も酔ってるから行水したいな。一緒に洗おうよ」
晴雯「若様の相手なんかごめんで~す。この前だって三時間ぐらいお風呂入って、水をこぼしまくってましたね。そんな人の面倒なんか見れません。別に私と一緒じゃなくてもいいでしょっ。さっき鴛鴦さんが果物届けてくれましたから、それでもお食べになったらどうです」
宝玉「じゃあお前持っておいで。一緒に食べようよ」
晴雯「私扇子も落としちゃいますから、ちゃんと運んでこれる自信がありませーん」
宝玉「別に扇子なんかどうってことないんだよ。もし本当に心から落としたいなら落とせばいいんだ」
晴雯「そーですか。じゃあ若様の扇子貸してください。私、破るの大好きなんで」
 宝玉が即座に扇子を差し出すと、豪快に裂き始める晴雯。やってきた麝月が注意すると、宝玉はいきなり彼女の扇子を奪って晴雯に渡し、彼女はこれもズタズタに破壊。大爆笑する主従。もう駄目だこいつら…。

・史太君の部屋で兄弟姉妹が語らうところへ、一か月ぶりに史湘雲がやってきた。以前は湘雲が男装をしてきたことなどをネタに語り合う。
大観園へ襲人を訪ねに向かった湘雲は、侍女の翠縷が自分の首に提げている金麒麟にそっくりな代物を拾っていたのを見つけてびっくり。宝玉の部屋へ行き、その麒麟は宝玉の落としたものだと知るのだった。

次回を待て

小言
前半の主役は晴雯。およそ侍女とは思えない自由奔放な性格を見せつけてくれる。そこが魅力的。
さて、二十九回に引き続き出てきた金の麒麟は、史湘雲の縁結びアイテムとされている。この麒麟は後に衛若蘭という人物に拾われ、二人の仲を結ぶきっかけとなるらしい。衛若蘭は秦可卿の葬儀に出席していた若き貴公子。しかし本編ではその名前が出てきた十三回以降出番が無いため、本当に湘雲と結婚したかどうかは不明。続作者の書いた現行本で湘雲は結婚しているものの、夫の名は明らかになっていない。
中には、原作者の原案だと麒麟を拾った宝玉が湘雲と再婚する展開があった、と捉える説も。史湘雲の末路や結婚相手については沢山の考察本があるので、興味のある方は是非参照されたし(中国語ですが)。

気になる人物達
賈宝玉…黛玉や晴雯のように、自分の心に素直な子が好きなんだろう。
花襲人…苦労人だなあ。しかし、ちゃっかり私は宝玉様の妾なのよと宣言している。また冒頭では、日頃からいい暮らしを夢見ていたことが明らかに。なんだかんだで野心的な一面もある子なのだ。
晴雯…初読だと、侍女のくせになんて自分勝手なヤツかと驚くかもしれない。でも自分の気持ちに真っ直ぐな生き様は見ていて癒される。襲人に対抗意識アリ?
麝月…出てきた途端に自分の扇子を破壊される。哀れ。
史湘雲…後半の主役。男装が好きだったり、幼少の頃のお転婆ぶりが明らかに。また一時期襲人を自分の侍女にしていたことがある。侍女の翠縷相手に陰陽の蘊蓄を垂れ、その見識の高さを見せつけた。
翠縷…史湘雲の侍女。もとは賈家で買われた人間だが、史湘雲が実家で暮らす時一緒についていった。
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